仕方ないか Side 銀八 銀時が熱を出して倒れた。 銀ととーしろーくんをいってらっしゃいと送り出して仕事に行く前に銀時の様子を見に行くと、うんうん唸りながら布団に埋もれていた。 その布団の数、3枚。 重たくないのだろうか? まだ誰がやったかは簡単に想像つくけど。 「おもい……」 「優しい弟じゃないか」 多分、銀がお兄ちゃんの為に自分の布団を部屋から引っ張ってきて被せてやったのだろう。 あと一枚はとーしろーくんかな? 「ぎんぱっちゃん」 「なーにー」 布団の中から腕を伸ばし、ガシッと俺の腕を掴んだ。 ある意味ホラー。 「きょうの公判、かわりに出て」 「はぁ?」 「はせがわさんのチカンのこうはんなの」 「なに、あのおっさんまたバスターかけたの?」 「金持ちのマダムに」 「ご愁傷様」 「はせがわさんには世話になってるから、どーしても、」 「あー、でもなー」 「おれとぎんぱっちゃん、見た目変わんないし、おねがい」 どーしたものか。 長谷川さんと銀時は飲み仲間でたまに俺も一緒に飲むけど。 うーん、仕方ない。 可愛い弟の頼みだ。 それに銀時にはとーしろーくんの転入手続きとかいろいろさせちゃったし。 「わかったわかった。俺が替わりに行ってきてやるから、お前は大人しく寝てるんだぞ」 「………うん、」 ぽんぽんと銀時の頭を叩いて、ヨレヨレのシャツから銀時のピシッとしたシャツに着替える。 俺と銀時は年が近いせいか背丈もあまり変わらず髪も瞳の色もおんなじだから、ちっちゃい頃からよく入れ代わっていたりした。 持久走とか全部銀時に押し付けて。 今まで誰にもばれたことはないし、口が上手いのは自信があるから、まぁどうにかなるでしょ。 職場の学校に休みの電話をいれて俺は銀時の眼鏡をかけた。 2009.01.06 [*前へ][次へ#] |