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◆お昼寝








もぞもぞと起きて肩にかけられていたトシの着流しがバサリと落ちた。
くしくしと手の甲でまぶたを擦ってあくびひとつ。
ぺたんと座りこんだ俺の隣にはまだ眠っている銀ちゃんがいた。

身体を丸めて、手まで丸めて、可愛くってその手の間に指を差し込むときゅうと俺の指を握った。

俺と同じ顔、同じ身体。
まるで作られたみたいに全く同じな俺達。
違うのは髪と瞳の色だけ。
銀ちゃんは銀色の髪に紅い瞳。
俺は金色の髪に蒼い瞳。
双子の猫なのにどうして色が違うのかな?
俺も銀ちゃんと同じ色がよかった。
前そう口にしたら銀ちゃんも同じこと言ってた。
考えてることまで同じなんだね。


「……、ふぁ……」


んん、まだ眠い。
トシの着流しの下にもぞもぞと入りこんで銀ちゃんの隣に横になる。
トシの着流しは俺達ふたりをすっぼりと包んでくれて、俺達のお気に入り。


大好きなトシ。

捨てられて寒さに震えていた俺達を拾ってくれた。


「……ん、」


くしくしとまぶたを擦ってあくびをした銀ちゃん。
それさっき俺したことと同じ。
ちゅっ、と鼻先にキスをしたら銀ちゃんの紅い瞳がゆっくりと開かれた。
寝起きでとろんとした瞳は蕩けた飴玉みたいでおいしそう。


「きんちゃ……」

「にゃ?」


寝ぼけている銀ちゃんは俺に抱き着いて首筋をかぷかぷと甘噛み。
わ、くすぐったい。
トシの着流しの中、俺の上に乗っかった銀ちゃんは俺に身体を擦りつけながらちゅっ、ちゅっ、と俺の顔にキスを落とす。
甘えん坊の銀ちゃんが甘えたいときにする仕種だ。

俺は銀ちゃんの耳の後ろをこしょこしょしながらしっぽの付け根を撫でた。
三角の耳をぴるぴると震わせて銀ちゃんは俺の肩に顔を埋めた。


「にゃぁ……、しっぽ、やぁ……」


親指でしっぽの付け根をくりくりしたら銀ちゃんのしっぽが俺の腕に絡まって、


「きんちゃん……」


ふるり、と身体を震わせ熱い吐息を漏らした銀ちゃん。


「たっちゃった」


どうしよう?と困った瞳で首を傾げた銀ちゃんの唇にかぷりと甘噛みをしてぺろりと舐めたらいきなり視界が明るくなり、





「お前らナニやってんだ?」





と、巡回から帰ってきたトシに被っていた着流しを剥がされた。

ニヤニヤと笑うトシ。



忘れてた。
ここはトシのお仕事の場所でトシが帰ってくるまでお昼寝してたんだ。


後ろから銀ちゃんを抱っこして起き上がらせて、俺も両手を伸ばしてトシに起こしてもらった。

ぺたんと座った銀ちゃんは顔を真っ赤にして両手でアソコを押さえてる。
そしてぽろぽろと涙をこぼした。


「銀時、どうした?」


トシが銀ちゃんの頭を撫でながら優しい声で聞く。


「………っこ、」


ぷるぷる震える銀ちゃん。
心配になって俺は銀ちゃんの頬を舐めた。


「………おしっこ、」


呟いた銀ちゃんの言葉にトシは固まって、勢いよく銀ちゃんを肩に担いで走り出した。

俺も慌ててそのあとをついていく。


「トシぃ、おれも、トイレ行く」

「あぁ、もうお前らはあ!!今度から寝る前の苺牛乳はなしだからな!!」

「やだ、もぅ…、もれちゃ」

「ぎーん!!あと少しだから我慢しろおぉ!!」








大好きな銀ちゃんと大好きなトシと一緒にいれて、俺は今すごく幸せ。






2009.03.15





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