2 「…よし。送ってみるぞ」 「うん」 (カチッ) 「……」 「……」 画面:送信が完了しました 「おおおっ。できた!」 「はは。よかったね」 イケメンはメールと電話さえ使えればよかったらしく、嵐にも教えることができた。 (教えると言ってもメールの打ち方とかそんなんだが。ちなみにイケメンは嵐と同じでガラケー) 「けどこんなにもあっさり送れるんだな」 イケメンは感心したように呟く。 「そうだよ〜。てか今までケータイなしでどうしてたのさ」 嵐は素朴な疑問を投げかけてみた。 「メールはパソコンでしてたんだ。けど緊急時に連絡がつかないから持てって言われてな。でもうまく使えなくて困ってたんだよ」 「なるほど。とりあえずそっち方面は全然現代っ子じゃないことがわかった」 「?」 不思議そうに首をかしげる。 キョトンとした顔もかわいい。 けどイケメン。 マジ萌える、と嵐はグッと拳を握り締めた。 「そういえばお前、よくこんなとこにいたな」 「え?」 今度はイケメンが嵐に質問をする。 「ここって、俺が1人でゆっくり休みたい時に来るんだけど、今までここで人になんか会ったことなかったからさ」 「あーそれが寮の場所探してるうちに迷って…って、ぁああ!!!」 「うおっ」 忘れていた。 自分が迷子だったことを。 落ち着いてきた心は、またざわつき始める。 こんな森の中じゃ誰かに聞くなんて無理じゃないか。 ぽんっと現れる救世主はいないのか。 ……いるじゃないか! 「ねえお願い!寮まで案内して!!」 「え?」 嵐はイケメンに白羽の矢を立てた。 「俺、今日入寮なんだけど迷っちゃって…」 「………」 ぽかんとしているイケメンの姿に、自分自身の間抜けさが浮き彫りになっているような気がして、嵐は恥ずかしくなった。 だが今は背に腹は変えられない。 「だめ、かな…?」 返事がこない。 ダメなのか…。 「いいぞ。それくらい」 「ほんと!?」 驚きのあまり詰め寄ってしまう。 「俺も手伝ってもらったし」 「まじ助かる!ありがとう!!」 思わず漏れる安堵のため息。 この人がいい人でよかった。 喜んでいると、イケメンはただ、と話を続けた。 「?」 「ただそれを、俺から言いたかったのに、先越されてちょっとムッとしただけ。返事に間が空いて悪かった」 「…!」 誰もが蕩けてしまうような笑顔。 その笑顔に嵐は赤面する。 自分にとってその笑顔は、あまりにも眩しすぎた。 そして思う。 この人、ギャップありすぎだ、と。 一体何人その笑顔で落としてきたんだ。 というか今この微笑みを受けている自分が憎い。 なんで他の男の子じゃないんだ。← そう考えずにはいられなかった。 今日改めて思う。 ギャップ萌え、恐るべし。 [*前へ][次へ#] [戻る] |