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小説
*レイマリ* 巫女服と魔女服
鳥居の下に溜まった落ち葉を掃いていたら、頭上から例のごとく、声がした。

「よっ、霊夢」

「何か用?」

その声は、少し冷たくなった風に乗り私の耳に届く。


「いやー、用がある訳でもないんだけど…その…ごにょごにょ…」


魔理沙が物事をはっきり言い切らないなんて珍しいな、と思い首をかしげる。

「何?言いたいことがあるならはっきり言いなさいよ」



「………」「………」



「だぁぁ!実は、おま」
「へっくしゅんっ!!」



「へっくしゅ…ぐすっ」



「…おまっ」
「へっくしゅ!!へくしっ!ごほっ」



「……大丈夫か?霊夢」

魔理沙が心配そうな目でこちらを見つめる。



「やぁねぇ、ちょっと風が冷たいだけ、へくしっ」


「へっぶしっ、ごほっ」



「…熱、あるんじゃないのか?」

そう言うと魔理沙はこちらに近づき、自らの額と私の額を合わせた。



お互いの吐息が掛かる程の距離。



真っ直ぐな金色の瞳がこちらを見る。



そう思うだけでも心なしか自分の体温は何故か高まってしまったように感じる。



「あっちぇぇぇ!霊夢、お前熱あるって!!!暖かい服に着替えて寝ろ!!!」


大丈夫よ…と言おうと思った矢先、熱のせいかめまいでふらっと倒れそうになってしまう。



「霊夢っ!」

魔理沙の腕がふらついた私を支える。



「んっ…ごめ…魔理沙…ちゃんと休む…」

私が諦めたように言うと、魔理沙は満足そうに頷いた。

「うん。とりあえずあったかい服に着替えろ。あ、動くなよ?私が持ってきてやるから場所を教えてくれ」



その後、魔理沙が居間にしいた布団を敷いてくれ、さらにそこまで抱き抱えられながら連れていってもらった。



「おぉーい霊夢ー!あったかい服ねぇぞー!」



向こうから魔理沙の大きな声が聞こえ、この前出掛けた時に暖かい羽織る物等を全て忘れてきてしまったことを思い出した。(お酒って怖い…)



「あ…やっぱり無いからいいわ…ありがと…」

消え入りそうな声で返事をすると、次の瞬間、目の前に魔理沙の苛立たしげな顔があった。


「何で無いんだよ!?…もう、私の服と交換しろ!お前はそんな腋を出したりしてるから風邪引くんだ!」


と言うと、魔理沙の手はするすると私の服を脱がしていってしまう。


「ん、ちょっ…まり、さ…やめっ…」

熱のせいなのか分からないが、息絶えだえに抵抗するが、魔理沙の脱がすスピードは一切変わらない。



下着だけの姿になった私に、魔理沙は言う。

「…それにしても貧し…」

「余計なお世話よっ!!!」


「あー、ハイハイスミマセンデシター」


そう言うと魔理沙も自分の服を脱ぎ始める。



目の前には魔理沙の均整の取れた体。



いつも飛び回ってる割に白い肌。



胸だって、いつの間にこんなに成長したんだろう…



「ん?何を見てるんだぜ?」



私の視線を感じたのか、怪訝そうな目をこちらに向ける。



「いや、別に…あの、寒い…」


「あぁごめんごめん、今着せるから少し待ってくれ」



「はいっ、完成だな」


どこから持ってきたのか、鏡を私の前に差し出す。



黒い髪のせいか、魔理沙の黒い服のお陰で全身が真っ黒になっている。



私の服を着た魔理沙をちらりと見ると、魔理沙の明るい金髪が、赤い巫女服の色をとても眩しいものにしてしまっている。



「なんか、着せ替え人形で遊んでる気分だな」


そう言うと、傍らに置いてあった帽子を私に被せてしまう。


鏡を見なくても、さらに黒くなったのは当然分かる。


一方魔理沙は、私の頭から丁寧にリボンをとり、自分の頭に取り付けた。


「ごほん……博霊霊夢だz…だわよ!」



声色を変えて魔理沙は私の真似をしているようだが、語尾がおかしい。



思わず笑ってしまった。


「じゃあ…霧雨魔理沙だぜ!…ごほっ」


頑張って真似してみたものの、また風邪の症状が悪化してきたようだ。



「ごめんね、魔理沙…ちょっと寝るわ……服、ありがとう…」


そして、私の意識は夢の世界に堕ちていった…




続く…?

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あきゅろす。
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