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小説
*レミフラ* こどもあつかい
「フランは、ここにいなさい」



「フランはいい子で待ってて」



「フランは大人しく待ってなさい」



いつになったらお姉様の近くにいられるんだろう。


お姉様はどうして自分を置いて行くんだろう。


「お姉様、」

呟いた言葉は薄暗い地下の部屋の壁に吸い込まれて消えて行く。


「お姉様」

近くにある姉によく似たぬいぐるみを手に取り、うっとりと眺めた後、粉砕する。


「きれい」

彼女の指が美しい薄紫色の糸に滑らかに通って行く。



495年間、薄暗い部屋で過ごした彼女はまだ、世界を、幻想郷を知らない。


一番近くにいたのだって、姉ではなく、姉を象ったぬいぐるみたちだ。



姉に相手してもらえない理由を静かに考える。



「わたしが、子供だからかな」

自分の手にそっと目を落としてみる。


白くて、傷1つ無い。咲夜のような華奢な手だとはお世辞でも言えない。



「お姉様、」



自分が大人になったら、こちらを見てくれるのだろうか。



咲夜に向けるような笑顔が、自分にも向けられるのだろうか。



「レミリアお姉様、」



しかし、時間感覚が完全に麻痺している彼女にとって、
大人になるということはどういうことなのか分からない。



「強さ、」

まだ未熟な脳で弾き出した大人の答えは、
強さ。


誰をも圧倒する、姉さえ凌ぐ強さ。



「強さ」


幼き頭が考える強さ。



「壊す、」



それ即ち、破壊。



全てを壊してしまおうと。



何もかも、全てを壊し、強さを見せたらきっと姉が自分を認めてくれる。




そう、全てを。




この世界も。




「大好きなお姉様も。」

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あきゅろす。
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