天満月
幼少期-出会い
少し欠けた月の下
1人の少女は月を見上げていた
寂しそうな瞳で
「…」
銀時はその少女を遠くから見つめていた。見つめていたと言うか見惚れてしまっていた。
「銀時、帰りますよ」
少し先でこちらを見ている松陽。銀時は少女を振り返りながら松陽のところへ駆けていった。
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今日も彼女はいた。今夜は満月、いつもに増して遠くにいる彼女が美しくも可愛くも見える。
「綺麗な月だこと」
ハッと刀を握りをあげる少女。相手が自分と同い年くらいだとわかり安心する。
『…あなた…は…?』
「俺は坂田銀時!よろしくな」
『私は月野杏子。よろしくね』
そう言うと少し切なそうに銀時に微笑んだ。その微笑みに銀時は顔を赤らめる
「杏子ね、月好きなの?」
『うん!月を見てると楽しかったこと思い出せる。そう思わない?』
月を眺めていた瞳がこちらを向き、恥ずかしさで目を逸らす銀時。
「さァな。楽しかった思い出なんてねェからわかんねえなー。ってか楽しかったってなんだよかったって!今は楽しくないのか?」
うさ子は少し目を丸くして笑った
『ふふ…そうだな〜、今は銀時くんとお話ししてるから楽しいかな』
「…。銀ちゃんな!」
『え…??』
「銀ちゃんって呼べよ!俺と話してんのが楽しいなら毎日話てやる!だから昔の楽しかった思い出ばっか見てないで、月を見るたび次の楽しい出来事を見ろよ!」
『…………。ありがとう…銀ちゃん!』
目に涙を浮かべて笑顔を見せるうさ子。
こんなシリアスで良いお話、というようなシーンの中、銀時の心の中は踊りに踊っていた。
(おいィィィイ!やべェよ可愛すぎる可愛いすぎる可愛いすぎる可愛すぎるゥゥゥウ!!!)
「銀時、なにをやっているのですか?」
銀時と杏子は振り返る。
「ゲ、松陽…」
「おやおや、最近ここらで人身売買から身を護るためやって来た人達をバタバタ狩っている血に濡れた兎がいると聞きましたが、これはこれは可愛いらしい」
『…… 』
杏子は無言のまま月を見つめ、銀時は杏子を見つめる
「さぁ銀時、帰りますよ、そこの兎さんも良かったら」
銀時に微笑みそう言うと松陽は歩いて行った。
「だとよ、まあどっちでもいいんじゃねえの?銀さん杏子いないと楽しい思い出も作れねえけど」
『でも…私…』
言葉を続けようと銀時を見る。銀時は優しく微笑んでいた。なんだか心がホッとする。
『…行きたい…!!』
その言葉言い終わる前に銀時は杏子の手を引いていた。
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「ンン…」
銀時はみんなが勉強している中、呑気に昼寝をしているとどこからか視線を感じて目を覚ました。
_____パチっ
するとこちらを見ていた視線はすぐ近くにあり、目が合った。
「なっっなんだよ///」
『銀ちゃんまた寝てるー!もう!寝すぎだよ』
彼女はそういうととても可愛い笑顔を銀時に向けた。
「うるせェな、べっ別にいいだろ///」
銀時は大好きな女子の顔がとても近くにあり心臓がドキドキした。
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「銀時、貴様また寝てたのか!まったく、剣術だけでは生きていけないぞ!ハハハハハ」
「バカに言われたくねえよ」
「ヅラ、お前バカか。コイツは剣術もだめだぞ」
「あ゛ぁん?高杉てめえ俺に勝てねーくせに!」
「ヅラじゃない桂だ!!」
「は?21勝21敗だろうがよ!」
『もー!うるさーい!喧嘩しないの!ごちゃごちゃしてて誰がなに言ってるかわかんないよ(´・_・`)』
「「「うっっっ」」」
杏子が喧嘩を止め、3人の喧嘩は一時休戦。
「もーいいよ、行こーぜ杏子」
杏子の手を引いて廊下に進む高杉。2人は花札の約束をしていた。
「あっちょっ高杉てめー俺の杏子離せ!」
「銀時の杏子ではない!晋助、抜け駆けは許さんぞ」
「杏子ー!」
杏子は松陽に呼ばれ部屋を後にした。
しかし3人はそれに気づかない。
「俺の杏子だ」「俺のだよ」「違う、俺んだ」
「ッチ、口だけじゃわかんねェよーだな」
「それはおめーもだよ」
「フッ、望むところだ」
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杏子が3人のところに戻ると3人は竹刀を打っていた。
「ちょっ、何してるの!?練習!?もうやめなよっ3人ともぼろぼろじゃない!」
その声に気づく3人。
「「チェッ」」
誰のせいだと思ってんだよ、と内心思いながら喧嘩をやめる3人であった。
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