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乱暴なキスをあなたに


男なのに思ってしまう。
シュボッ、燃える音を成してジッポから出した火でタバコを燃やす。吸って一旦舌先で味わい飲んでからフーっと長く紫煙を吐き出して細い煙を天井に染み付けた。流れる動作でタバコを咥える浦原の唇は、エロい。言葉が悪くてボキャブラリーが貧困だがそれしか言い表せない。薄い男の唇なのに意地悪そうに片方だけ口角をあげて笑う仕草とか、打算的に尖らせる唇だとか、悩んだ時に見せるアヒル口だとか諸々、エロいのだ。だから思ってしまう、男なのにキスがしたいって。

「なあ」
「んー?」
「キスさして」
「……嫌ッス」
「なんで?」
「全ッ然ムードないし色気ない台詞だしってかあんたいっつも突然っすよね?!今のどこにそんなフラグ立ってたの?!」

少しだけむせて唇を尖らせるそれにさえも究極のエロスを感じてやっぱりキスしたいなあと言うワガママな感情が露わになってしまう。ペロリ、わざと舌なめずりして見せた。

「だめ?」
「可愛く言ってもいや」
「ちゅーさして?」
「なにそれ鳥肌。却下」
「キス、させろって」
「横暴。ダメ」

おっと、今日はやけに機嫌が悪ぃじゃねーの。一護は内心舌打ちしながら減るもんじゃねえしと失礼な暴言を吐いた。
スっと腕を伸ばす。すらりと伸びて綺麗だと言われた自慢の指先で器用に浦原の顎を取る。微動だにしない浦原に少しばかりカチンとくるがまあ良い。
これからその気にさしてやるから覚悟しとけよ。
物騒極まりない事ばかり思ってしまうのはきっと浦原のエロさがさせる事だ。普段はもうちょっと紳士的だと自負するが彼のエロさを前にしてしまえば紳士的態度も獣に早変わってしまう。
人差し指と中指を顎の下に持ってきてゆっくりと顎したを撫でる。まるで愛猫にしてやるみたいに、無精髭のザラザラな感触を楽しみながら撫でる。
それから打算的に流し目をしてやってニヤリと笑う。琥珀色の甘い甘い色が獣臭い光を帯させる所が好きだと彼は言ったからだ。
キス、していい?
乱暴な色にとびっきりの甘さを含んだ感情を混ぜる。親指で下唇を撫でてやれば漸く浦原の瞳が観念の色に染まって瞼を伏せた。そして掬い上げる様に下から上へと意図的に視線をよこす。ザワリ、一護の背筋が唸りをあげた。

「んっ」

軽いキスからは始めてやらねーからな。そう言われてもおかしくないキスは乱暴に浦原の唇を割って舌先を侵入させ貪る。下からのキスが徐々に絡みを濃くしては上からのキスへと変わる。ああ、喰われてる。捕食者の気分になるキスは一護の十八番で、浦原の心へと強制的にエロティシズムを植え付けてしまう。
乱暴なのに甘い、甘いのに激しいキスが互いの間に隙間を作る事なく距離感をゼロにしては一護の琥珀色を潤ませた。
ん、鼻で鳴く掠れた音と、フと苦し気に吐かれた吐息に脳の芯からふやけてしまう。もうダメ降参。浦原は一護の腰を抱き、軽々と持ち上げては寝室へと移動、そして乱暴に唇を剥がしてベッドへと放り投げた。

「てめえ!もっと優しく降ろせよ!」
「うるさい」

意義を訴えるものし掛かる浦原の瞳はギラギラと光っている。獣臭いその余裕がない瞳の色が好きで挑発するんだから、多少の乱暴は許してやるかと一護は照れ隠しに憎まれ口を叩くのだ。一々構ってる暇は無いし余裕も無い二人はベッドへと沈んだ。
浦原のいやらしい唇が唇に重なってから始まる荒々しい行為を甘受して一護はアアと鳴いた。
















たまには獣臭い夜を




あきゅろす。
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