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"I found God"ってアイザック・スレイドが歌う。一番街とアミスタッド通りの交差する角のところで神に出会ったと歌う。
ロックアンドロールにしてはややしっとりめのメロディが室内に充満し、ガーネッシュクラシックNO8の香りが便乗した。
声を出しても良いよ、何度も何度も告げてきた言葉を彼は頑なに拒み、毎度の如く声を喉奥で殺して飲み込む。やけに辛そうに震える喉仏に噛み付いたとしても体がビクリと震えるだけで彼の唇からはハっと息を切る音だけしか漏れない。
いつもの場所、いつもの彼の部屋はきちんと整頓されている。
窓際に位置したベッドはシングルタイプのパイプベッド、シーツと布団カヴァにぴローケースは同色のネイビーでややシックだ。二人分の重みを乗せたベッドはきしりと小さく唸ってはアイザックの歌声に被さり邪魔をした。
これほどピアノの旋律とマッチするロックミュージックも中々ない、You found me, you found me、力強くそしてアンニュイに歌い上げる。耳に流れこむメロディが心地良くて良い選曲だと感心した。
震える彼の腕がそうっと首に巻きつく、やっと縋るようにはなってくれた彼はフルフルと腰をくねらせながらより強い快楽を求め、そして強すぎる快楽から逃げようとする。
彼を抱く上でこれといった理由なんてない。
思いながら浦原は一護の腰をそうっと抱き寄せた。中に埋め込んだままの熱が内壁から彼を傷付け攻め立てる。丁度良い具合に熱がぶつかり合い、脳天をぶち抜く程の快楽が彼を襲ったが、それでもやはりと言って良いかどうか…一護は悲鳴をも上手く飲み込んで息も絶え絶えに浦原を見た。
震える両手を上げ、浦原の頬を両手で挟む。金色が映し出す甘い琥珀色は少しだけ虚ろ気。その中央から滲み出るように涙がキラリと光ってはより甘く琥珀色を染め始めた。
蕩けた琥珀色はミルクティブラウンに早変わり。変色した彼の瞳にアっと息を飲み込んで、浦原は脳天を突き破らんとする熱を味わった。
ア、うっかり漏れてしまう声がやけに耳に響く。
彼が感じた事できゅうと締め付ける力に思わず気持ちイイと声が出てしまっていた。少しだけ掠れた声が自分の声じゃないみたいで恥ずかしい。初めて聞いた浦原の声に一護は目を丸めた。甘い甘い琥珀色がこちらを見てる事が居た堪れない。
反らした瞳に彼がフと柔らかく笑った気配がした。
"良い声だな、あんた"
発せられた彼の声は若干だが少しだけ震えている。それにまた熱を上げられてしまう。ああ、敵わないなあ。思いながらより深く深く彼を抉って喉元を可哀相なくらいに震わせた。
アイザック・スレイドが歌う、スプリングの音が耳に痛い、熱の温度、そして熱の音が二人を揺らす。
彼はいつも通り、必死で声を押し殺しては震える体でめいっぱいの好きを伝えてきた。















好き、すき、すきだから




あきゅろす。
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