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この体は期待している。下肢から背筋に一直線と走りぬける快楽を知っているから、いつだって浅ましくも、この体は期待する。
肌の上を滑らかにすべるあの神経質な指先に、男にしては想像も出来ない熱い吐息が漏れる薄い唇に、舌先に。体を嬲っては鼓膜をも嬲るあの声に、孕んだ熱に。この体はいつだって期待に満ちて自然と腰を揺るがす。
なんだってこんな事になってしまったんだろう、一護は考えるも更なる快楽を追わんとして思考を乱した。ハっ、吐き出した熱い息に荒げた鼓動、握り締めるシーツが皺になって綺麗な螺旋を描く。横目に見える男の手、綺麗で骨ばっていて神経質な手に集中しながら腰をゆるりと動かせば彼もまた、一護と同じくシーツを握り締めては螺旋を描いた。背後で小さく息を吐き出す音が聞こえる、そして粘着質でいやらしい水音も共に響いて一護の体を真っ赤に染めた。
浦原、うらはら。
くろさきさん、一護さん。
互いに呼び合っては互いに熱を上げた。彼が名前を呼ぶ度に胸が締め付けられるくらいの痛みを覚えて切ない、切ないではあると同時に嬉しいと言う気持ちも混じってしまうから厄介極まりない。浦原の声は毒となって一護の体の隅々まで染みこむ。それこそ足のつま先から頭の旋毛まで、隅から隅へと侵食する声に、また体が期待した。
もっと奥まで、ちょうだい。はしたない言葉も舌先に乗ってしまう。中で大きさを増した熱に苦しいと感じて、快楽を素直に受け入れた。
呼び合って、息を荒げて共に過ごす夜の音にそうっと耳を傾けて快楽を追えば心なしか、横につかれた手が寂し気に見えた。
ちゅ、かじ、ちゅ。
既に零れた唾液に濡れた唇で手首を食んで舐めて口づけて、そして食めば意図を察したように彼の手が一護の手に被さって指と指を絡めて強く握り締める。あ、束縛されてる。感じた途端に背後の男が動きを乱暴に変えてきたから声が大きく漏れた。
ゴリゴリと乱暴にとある箇所ばかりを攻め立てられてわけの分からない言葉を何度も何度も発した。それくらい、気持ちが良かったし、この男が自分なんかの体でここまで興奮している様がとてもじゃないが興奮した。彼に教えられた通りに体は動く。腰を回しながら彼の熱を奥へ奥へと誘ってみせる。それでも決定的な快楽が得られないのは昂ぶっている性器を同時に擦って貰えていないからだ。
ら、はら…ら、ぅ…っまえ、まえもさわ、って…ねが…っ
お願い触って触って、はしたなく響く自身の声が耳元で響いては夜に反響する。太陽の香りがしてふかふかな布団が一気にいやらしい香りを染み付けては畳みの香りを鮮明にさせている。ああ、浦原さんの部屋で交わっている。今更ながらに感じて、胸がきゅうんと締め付けられて堪らない感覚を味わう。束縛された手では自分で解放する事が出来ない、くねらせた腰は切なげに強請り、口元からは過激な言葉まで漏れる始末。それでも浦原は触ってくれなかった。彼が望む通りの強請り方をしたのにも関わらず、胸を一護の背中にひっつけた状態で屈んでは一護の耳を食む。
今日は、後ろだけでイってみせて。
やら、や…ら、ァ、アッ、ふか…ふかいばか…ねが…っ
だーめ。ね、きっと気持ちイイよ。すごく気持ちイイから。ね?
ふう、ふっ、あ!あ、あ、…らはら…ゆるし、て…
屈んだ事でより深く抉られた中に声が漏れて涙が溢れてグシグシと泣いてしまう。同じ男としてのプライドはどこかに吹っ飛んで、過ぎる快楽の施す苦しさから逃れようとしても縋るべき対象はもうこの男しか居ない。浦原しか居ないから許しを請う、わけも分からずお願いと何度も放った。
出したりいれたりの繰り返し、イイ箇所にあたって抉って快楽を植えつけるのに、圧倒的な快楽を得られない事への苦しさが涙になって流れて頬を伝う。既に掠れてしまった声で何度も浦原を呼んで触ってと請うも、頑として男の手は一護の手を拘束したまま微動にしない。それがとても残酷に感じてはボロボロと泣き出すしかなかった。何もかもがない混ぜになってしまった思考回路、虚ろで涙まみれの甘い瞳が浦原の手を見る。
ら、…きだ…ひん、ん…すき…うら、はら…すきだ…
泣き声混じりの酷い声で名前を呼んで好きだと漏らす子供の声をすんなり耳に入れながら浦原は耳たぶを優しく食んで、声を中にねじ込んだ。
ええ、アタシも…壊したいくらいに、キミが好き。
だからね、壊させて。ごめんね、我侭で貪欲な男でごめんね。ねじ込まれた声が胸まで届き、心臓を一突き。そして圧倒的な快楽が背筋を走り抜けて脳天を貫いた。ヒクヒク、中がきゅうっと締め付ける事で浦原は熱を放ち、一護はドライで昂ぶった熱を爆ぜさせた。初めての感覚に体が痙攣を繰り返して止まる事などない。中に埋め込まれた熱と、孕んでしまいそうになる未知の感覚にハっハっと息を荒げる。
そんな一護に男の声は意地悪くも更なる熱を煽ろうと発せられるのだ。
今夜はたくさん、壊れてくださいね。
乱暴な言葉とはウラハラに、声色が酷く優しいから、一護はもうヤだよとは決して言えず、素直に頷いて更なる快楽を甘受するしかないのだ。

















壊れてしまえと夜が甘く囁く




あきゅろす。
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