シリーズ ・ 「うううううああああああああん!どうせ俺なんかあああああ!」 ディーは盛大に泣き続けている。 「ど!どういうことだよ!」 ルリが焦ったように聞く。 「・・・お前が何で自分を女神からの加護を受けたもんと思ったかは興味ねーが気に入らん。」 アルクがぐっとルリの頭を掴む。 「いっ!痛い!!!」 「さっさと消えろ。」 「ひぃい!」 アルクの睨みに震えたルリは早々に以前の船に走った。 「ディー、落ち着いて!そんなに泣いてはまた熱を出してしまいます!」 心底情けない顔でシレンが訴えるもディーは聞こうとしない。 「シレンも俺が迷惑なくせに!ほっとけよ!女神の加護が欲しいなら俺がお祈りしとく!それでいいんだろ!」 「ディー!聞いてください!」 「海に放り投げればいいだろ!そうすれば嵐もおさまるし、厄介払いもできるし!」 「ディー!聞けって!」 「ディー!甲板にいたら体にさわる!」 他の仲間も必死になだめようとするも全く効果がない。 「ディー、聞け!」 そこにアルクが現われた。 「ディー!」 「うるさい!どうせ俺はお前達みたいに強くないし、兄ちゃん達みたいに役に立たないし、父ちゃんや母ちゃんみたいに綺麗じゃないし!」 「ディー!」 「どうせ、ふぶぅ!」 「落ち着け・・・。」 アルクがぎゅっとディーを抱きしめる。 「アルクも俺みたいのじゃなくてあの男みたいに綺麗なのがいいんだろ・・・。」 ぐすぐすと鼻を鳴らしながらディーが言う。 「お前なぁ・・・。」 アルクがはぁとため息をつく。 「お前は・・・っておい!」 ディーの体から力が抜ける。 「くそ!また熱がぶり返した!」 「至急毛布を!」 「「「「イエッサー!」」」」 「加護だけ必要ならこんな世話しないってなんでわかんねーかな、こいつ・・・。」 end [*前へ] [戻る] |