シリーズ ・ 「母さん・・・。」 いつもの笑顔をすっかりなくしてしまった茜を灯は心配していた。 あまり家事が得意でない母のために今まで以上に家事を頑張った。 大変だけど母親に元気になって欲しかった。 「ふはー。」 「どうしたの、灯?元気ないね。」 昼休みになりご飯を食べていると親友の慎哉が声をかけてきた。 小学校からの友達で同じ平凡仲間だった。 「まぁ、いろいろあってね・・・。」 「いきなり巳継君と一緒に住み始めたんだもんねぇ。やっぱりイケメンは家でもかっこいいの?」 1年前に両親が結婚したものの一緒に住み始めたのは最近だった。 アシュレイの仕事の関係もあり、いろいろ時間がかかったのだ。 「巳継君は・・・。」 ぽっと灯の頬が赤くなる。 「ん?どうしたの、灯?」 「いや!なんでもない!」 慌てて赤い顔を隠す。 (巳継君・・・。) 実は灯は巳継のことが好きだった。 母親から初めてアシュレイと巳継を紹介された時。 「よろしく、お兄さん。」 にっこり笑ってくれたあの時から巳継の顔が頭から離れない。 (でも男同士だし、家族なんだから。) 灯は自分の気持ちを一生封印するつもりだった。 「でも巳継君ってほんとにイケメンだよねぇ。昨日も学校のマドンナに告白されてたし。」 「・・・うん・・・そうだね・・・。」 (大体自分みたいな平凡が相手にされる訳ないしね・・・。) 灯は巳継の兄としてそばにいれれば満足だった。 [*前へ][次へ#] [戻る] |