涙の王国(完) エルの正体 エルを人質にとられたゾルは悔しそうな顔をした後、おとなしく武器を放り投げる。 「君達もですよ、犬とガキめ。」 ルクとタナトスもおとなしくなった。 「さてさて、お目にかかれて光栄ですよ、エリュシオン殿。」 「こちらこそ光栄ですわ、アナキー防衛隊長殿?」 「ほう、わたくしを御存じとは!光栄でございます。」 アナキーと呼ばれた男はニヤニヤと笑う。 「知らないはずがありませんわ。人を殺すことに生きがいを持つクソ野郎であると我が国でも大人気でございます。名前を聞けば唾を吐かれる程の人気ですわ。人気者はお辛いですわね。」 よよよと泣き真似をしながらエルが言う。 「・・・相変わらず口は達者のようですね・・・。」 ぎりぎりと歯を噛みしめながらアナキーが言う。 「それほどでも。」 にっこり。 「っ!エリュシオン王を丁重に城までお連れしろ!」 アナキーが部下に指示を出す。 「お・・・う・・・?」 ジジルディア兵によって縛りあげられたルクが困惑した顔でエルを見つめる。 「あら?言ってなかったかしら?わたくしはマグライア王国現国王、エリュシオン=マグライアですわ。」 [*前へ][次へ#] [戻る] |