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涙の王国(完)

「師匠達が好きになったんだからきっといい子なんだよ。馬鹿にしちゃだめだ。」


「・・・ルクは師匠を馬鹿にされるのが嫌なんでしょう?」

「う・・・。」

「ふーん。・・・いいよ、とりあえず先を急ごう。まだマグライア王国の中だから指名手配されてたらあっというまに捕まっちゃうよ。」

「うん・・。」

心の空洞に気付かない振りをしてルクは立ち上がった。




「!」

突然タナトスの耳がピンっと立ち上がる。

「ルク!下がって!」

タナトスが鋭い声でルクを下がらせた。

「城の追手?」

後ろへ素早く下がったルクが小さい声で話しかける。

実践経験は無いものの、身を守るぐらいの術は師匠から教えられていた。

「分からない。気配がつかめない。俺は分からないってことは結構強いかも。」

「それってイアークとかってこと?」

ルクが不安そうな顔をする。

「うん、もしかしたらそれ以上かも。」

「それって・・・・師匠・・・。」

「・・・確信はできないけど・・・。」

「うそ・・・・。」

ふらりとルクの体が揺れる。


ガサッ!


気を抜いていたルクは後ろの気配に全く気がつかなかった。

頭に鈍い痛みが走ったかと思うと意識が遠のく。

タナトスの焦った声が聞こえる。

(タナトス・・・。・・・・・し・・・しょう・・・。)

ルクの意識は真っ黒に塗りつぶされた。


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