涙の王国(完) ・ ひっくひっくと何とか泣き声もおさまってきたルクの頬を、タナトスはぺろぺろと舐める。 「ルク。ルク。」 「ふう・・・・。」 じんっと体の芯が熱くなる。タナトスからの力の波動をルクの体が勝手に吸収していた。 「いやあ!だめ!タナトス!!!!」 ルクが突然激しく暴れ始めた。 「だめ!だめだ!タナトスが死んじゃうう!!!」 化け物 ルクはずっとそう呼ばれていた。マグライア王国で王の次に力を持つ師匠に拾われて弟子になってもその陰口が消えることは無かった。 触れた者の魔力を全て吸い取ってしまう悪魔。 ルクにはそういう力があった。小さい頃には無かったが、10歳ぐらいの頃から突然意図せずに人の魔力を吸い取ってしまうようになってしまったのだ。 [*前へ][次へ#] [戻る] |