涙の王国(完)
目が覚めて
「んう・・・。」
ルクが目を開けると、心配そうなタナトスの顔が飛び込んできた。城から抜けだした際に気を失ったらしい。
「ルク?大丈夫?」
タナトスの朱金色の瞳が少し潤んでいる。どうやらルクの目が覚めるまでずっと見ていてくれたようだ。
「タナ・・・ト・・・ス?」
「うん。ここにいるよ。」
「タナトス・・・。」
「うん。」
「ううう・・・。ふうああああああああああああああああああああああ!!」
ルクは絶叫した。悲しみで胸が張り裂けそうだった。
捨てられた自分を拾ってくれた師匠。優しくしてくれた弟子達。あんなに幸せだったのに、それはいとも簡単に崩れ去ってしまった。
「ううううあああ!ああああああああああ!!」
「ルク。ルク。ルク。」
タナトスはひたすらルクの名前を呼んで、優しく寄り添っていた。
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