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□■Katsuragi×Other List
(Kt×Kal)お気に入り

「どうぞ、クッキーです。」

彼にしては珍しい行動にカルは目を見開いた。


お気に入り


「――毒でも入れたのか?」

「そのようなことはしていませんよ。クロユリ中佐の為に作ったクッキーが余っただけです。
何時も紅茶だけですから、たまには甘い物もどうかと。」

甘い物は嫌いでしたか。などと聞いてきたカツラギに怪訝な顔をしながらも目の前に置かれた大量のクッキーに手を伸す。
パリッ

「カツラギ大佐、流石にこれは甘過ぎる。どんだけ砂糖を入れたんだ。」
「先ほど言ったでしょう、カル。これはクロユリ中佐に作ったものですから…。私もこれには砂糖を入れすぎたかなと反省していますがね。」

苦笑しながら己を見るカツラギ大佐に溜め息しかでてこない。

「どうせ嘘だろ。」

目の前の大量のクッキーは失敗作だろう。
恐らくクロユリ中佐にあげて余ったのではなく、失敗して処分に困っていた時にちょうど己が来てしまったという感じだろうか。


「で、これはどうすんだ。」

「ああ、カルがいらないと言うのでしたら仕方がないですね。処分します。」

「そうか――まぁ、味は悪くなかったし、10枚ぐらいなら持って帰ってやってもいいぞ。」

こうして互いに気を許して話をすることが出来る時間も、何時まで続くかは分からない。

己もカツラギ大佐もこの時間を気に入っている。
カルとしてはこの時間を大切にしたいと思っている。
それ故に己は失敗作だというクッキーを持って帰ることにしてしまった。
己はこういう事に関しては何時もカツラギ大佐に甘いと思う。


「ありがとうございます、カル。これから仕事ですか?」

「会議だ。今日はこの書類をアヤナミ参謀に渡しに来ただけだからな――ミロク様も待たれていることだしな。」

「そうですか。では、また機会があればお話しましょうね。」

「ああ、また機会があればな。」


そんな会話をしたのは今日で何回目だろうか。50は超えている筈だ。

初めは書類を持って行き挨拶をするくらいで終わっていたが、いつの間にか言葉を交わすようになり、最近ではお茶まで出して貰っている。

今では参謀室に行って、カツラギ大佐と会話することが己の日常のようなものになってしまっている。


「この時間がなくなるのは少々惜しいな。」

「私もですよ。」





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