[携帯モード] [URL送信]

□■katsuragi×Konatsu List
ふんわり、ほっこり。

「それではコナツ、始めましょうか」

そういって始まったのはお茶の淹れ方の実習。
茶器を蒸らして温めて、温度と時間に気を配り丁寧にお茶を淹れる。

コナツは概ね筋はいい方だと思う。

が、如何せん 本来の性格がちょっと出ている処もある。


コナツはちょっとセッカチなところがある。


それはお茶に限らずで、料理でもそう。

少し早いせいで、味がもう一歩止まりになることがあるのだ。



そこで今日は抹茶を淹れる事にした。






「……まっず……」

「この苦みが美味しいのですよ。お気に召しませんか?」

「そう言われているのは聞き知ってはいたのですが、こう苦いと喉が潤った気になれませんね。」



本当にちゃんと淹れた抹茶など苦くて飲めないものも多いだろうが、今回はあえてそれを実習として選んだ。

お茶の点て方(たてかた)一つで、味はふんわり和らぎもするし 苦くもなる。

しかし、そんな技術など無くても 美味しくお茶を淹れる方法が一つあるのだ。




「では、コナツ。お湯はまだ鉄瓶の中に余っていますよね。」

「しかし大佐。もう温くなっていると思いますよ。鉄じゃあ、温まるのも早いですが、冷めるのも早いと思いますし…」

「温いので十分です、それでもう一度お茶を点てましょうか。」

「…また苦いのを一杯頂くのでしたら、慎んで遠慮したいところなのですが……」

「それはもう一度飲めばわかりますから。」

「……まぁ、わかりました。もう一度やってみます。」



そう言ってコナツは、先ほど教えた手順で 抹茶を点てていく。

飲みこみは早く、テキパキと進めていくのだが やはり本来の性格が出ている気がする。



やはり行動が早いのだ。

優美さという類は、コナツには少々不向きだなと思う。



「大佐、抹茶が点て終わりました。」


そう言って持ってきたのは温くなったお湯で点てられた温い抹茶。


「やはり、温いと思うのですが。温い分、抹茶自体も溶けにくかったのでしっかり混ぜなくてはいけませんでしたし。」


やはりこちらが思った通りの行動を彼は取っている。


「ではコナツ、どうぞご自分で味を確かめてみてください」

「…わかりました、また苦かったら怒りますよ」

「苦くなかったら、どうします?」

「飲んでからの話ですね」


そう言って、コナツは自分が点てたお茶をちょっと口にする。

そして先ほどとは違う味に目を丸くした。


「……さっきより……苦く…ないですね」

「そうでしょう?」

「さっきとやり方は一緒なのに。温度が原因ですか?」


そう言いながら味を確かめるようにまた一口。


「苦い飲み物だったのに、甘く感じます…」


不思議そうに言いながら、残り少なくなった抹茶へ視線を落とした。


「温くなったお湯で点てると、甘く感じるんですよ。それに先ほど貴方が言った通り、溶けにくいからよく混ぜる。結果として空気を含みやすくなりますね。」

「それなら、沸騰する前に止めてしまえば 早くお茶を点てられそうですね。」

「沸騰したものでないと、味が不抜けてしまいますよ。」

「………なるほど……落ち着いてしっかり作る方がいい、ということですね」

「はい、ところでコナツ」

「はい?」

「結果として抹茶は苦く無くなったのですが」


此処まで言うと、コナツはしまった・と言葉に詰まった表情を浮かべた。


「…ああ。そうですね。」


ぎこちなく返す言葉が非常に可愛くて、愛しい。


「……どうします?」


だから、つい苛めたくなる。








「カツラギ大佐のお手伝い…、ということで。」

彼は無難な答えを一つ返すと、この話題を終わらせるべく 点てたお茶の後片付けを始める。





「なら、三日間徹夜でお手伝いですね。」

「ええええ!」

「いやーアヤナミ様の仕事が溜まっていて…」

「ちょ、三日ですか?!私実は昨日も徹夜で」

「お手伝い、とーーーっても助かります。いやー、いいべグライターだ、うん。」



せっかく頂いたお手伝いの権利だ。


アヤナミ様の為にも、コナツには有り難くしっかり働いてもらおう。


それに何より。










お手伝いで言葉を濁した罪は、結構重いですよ。




END


[次へ#]
[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!