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□■katsuragi×Hyuuga List
雨降りと野良猫
珍しくコナツを伴わず、ヒュウガはカツラギと歩いていた。
最近は雨が続いていて、今日はざあざあほど強くなく、しとしとほど弱くない雨が降っている。

本来ならこの時間帯、ヒュウガはデスクワークをしているはずなのだが、「少佐がいると余計に仕事が増えるのでしばらく出ていて下さい」と自身のベグライターに言われてしまったので、会議資料の関係で外に出たカツラギについてきたのだ。

あんまりな言われようであるが、コナツの発言は罵倒ではなく事実だ。悲しいことに。

ヒュウガにデスクワークをさせようとするとたいがい脱走するので、コナツが探し回る羽目になる。やっと机に向かわせたと思ったら、未決書類の裏にプロ顔負けの絵を描いていたりする。そうなるとコナツは新たな書類を再びもらいに行くか、書き直す羽目になる。

普段ならそれでも大目に見てくれるのだが、さすがに三日もほぼ徹夜の状態が続いてしまえば、いかなコナツと言えども言葉がきつくなるのは仕方がない。

さすがに無理させすぎたかなあ、明日からはきちんと仕事しよう。来週まで。

きっちり期限を考えているあたり、ヒュウガには反省の色がない。

「……あ、猫」

それまで黙って歩いていたものだから、ヒュウガの突然の発言に、カツラギはヒュウガの顔を見た。
ヒュウガは人差し指をまっすぐ前に向ける。
正確には、前方にいる黒猫へと。

「本当ですね」

けぶるような情景の中、路地のブロック壁から浮かび上がるようにして、もう大人になっているらしい猫が佇んでいた。
大きな目でじっとヒュウガたちを見つめている。
ヒュウガは特に考えての発言ではなく、さっさと屋内に戻ろうと思っていたのだが、カツラギは歩いて行って、少し腰を屈めるようにして猫と目を合わせた。
ヒュウガも追いつき、カツラギの顔を見る。

「大佐って猫好きな人?」

「ええ。猫に限らず動物全般が好きなんです」

「へえ」

猫を見つめるカツラギは優しい目をしている。

「……オレ、カツラギ大佐になら飼われてみてもいいかなあ」

半分本気で言ってみたのに、「年上をからかうものではありませんよ」とあっさり流されてしまった。


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