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ホフク前進
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「なあ安藤、身体測定の時の悲鳴ってお前?」
ああいかにも。
あんな恐怖体験はもうこりごりだ。
毎年行われる春の身体測定ほど恐ろしいイベントは無い。
体育祭は休めばかわせるからな。
「お前さぁ…その生活しんどくねぇ?」
辛いに決まっているだろう
少しでも身を起こせば地面との距離が恐怖感を与えてくるのだから。
「いやそっちじゃねえよ」
俺が友である井坂とそんな世間話をしているとチャイムが鳴った。
帰宅の時間か。
荷物をまとめ、リュック(もちろん迷彩)につめこむ。
「安藤先輩!今度の日曜日バスケットボールの試合があるんですが助っ人に…」
「何言ってんだよ!日曜日はサッカー部が予約済みだ!」
「間を取って我々テニス部に助っ人に…」
悪いな。日曜日は家の大掃除なんだ。
各部活のラブコールを背に、俺は匍匐前進で廊下を後にした。
「なあ、お前が助っ人とかで部活やってる時の姿、ビデオに撮ってニ○動に公開してもいいか?」
断る。
俺の匍匐捌きは見せ物ではないのだ。
何度言えば分かる、井坂。


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あきゅろす。
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