ホフク前進 ページ:1 俺は元々、高い所が大嫌いだった。 8歳か9歳の時…公園の滑り台の上から地面にダイブして以来、ものの見事にトラウマになってしまった。 俺は極力高所を避けて生きてきた。 遊園地の絶叫マシンなど以ての外。 二階三階に登らねばならないショッピングモールを避け、全ての物品は製造者の皆さんから買いつける。 北海道への修学旅行は、俺一人海底トンネルを使用し、飛行機から見事逃げ切った。 だが…しかし。 「安藤君、はい、背筋を伸ばして…うん。もう少しぴーんと」 先生、無茶を言わないでくれ。 俺はもう既に全力投球だ。 これ以上の努力は俺にとっての地獄に繋がるんだ先生。 だからもう…いいだろう? 「ほら…こうやって!」 はっ? 俺の胸が、保険担当の城島先生の手に押された。 視線が…上がる。 いや、上方向へ向く訳ではなく… 「はい、安藤君。195cmっと!」 「ギャアアアアアアアアアアアアア!!!!??怖い!!!!高い!!!!下ろしてくれええええええええええ!!!」 …上へと平行移動したのである。 [次へ#] |