[携帯モード] [URL送信]

恋するあの子は無表情
14


「それじゃあよろしくお願いしますね、理事長。」
「あぁ、高城に頼んだのに…すまないね矢吹くん。」
「いえいえ、お気にならず…。近い内また会いましょうね、笹本くん。」
「…。」

矢吹さんは理事長に一礼すると、俺に向けてひらりと手を振って理事長室を後にした。
全力で遠慮願いたい所存である。


俺達は理事長室に入室済みだ。

因みに移動中、俺が矢吹さんと(主にセクハラで)激しい攻防を繰り広げている中、涼太はかなりおーどー君の扱いがうまかった…。話術のプロなみに。

あのおーどー君がたじろいぐほどだ。いっそ、師匠と呼んでやりたい。親父を呼ぶ涼太じゃあるまいし、呼ばねぇーけど。


「よく来てくれたね、外部からだと大変だったろう?」
「林を抜けるまでが大変でした。」
「俺は全然平気だったぜ!」

涼太とおーどー君が元気よく返事をする

「そうかそうか、お疲れ様。さ、立ち話もなんだから好きに座ってくれ。」


理事長にソファを勧められ、涼太と俺は理事長の向かい、おーどー君は理事長の隣に座った。

「それじゃあ、先ずは自己紹介からしようかな。私は一道智宏。一道学園理事長だ。そしてこちらの、杉崎紗夜の叔父でもある。」

おーどー君のボサボサの頭に手を添え、愛おしそうに目を細めながら理事長が自己紹介した。

「へへっ、智宏叔父さん…超イケメンだろ?」
「確かにとてつもなく萌…イケメン…!微かに感じるダンディズムが最高にセクシーです。しかも紗夜くんの叔父さんだなんて ま さ に 王道…!佐伯涼太感激です…!!」
「…?それはどうもありがとう?」

涼太が微妙に噛み合わない返しをしつつ俺も会釈で返した。



「早速ではあるんだが、この学園の事について知っているのかな?」

理事長が尋ねる。


「そりゃあ、もちろん!知ってます!」
「パンフレット、見ました。」
あと、親父からも聞かされた。

「俺は全然知らない。」とおーどー君。

意外だな。甥っ子だから知ってて来てると思ったんだけど…。
ちなみに涼太はそんなおーどー君に「ですよねー」と呟いていた。"王道君"ってのは皆そういうもんなのか…


「それじゃあ、とりあえず基本的なことから、この学園の特色を説明していこうか…。」





[*前へ][次へ#]

14/31ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!