恋するあの子は無表情
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「それじゃあよろしくお願いしますね、理事長。」
「あぁ、高城に頼んだのに…すまないね矢吹くん。」
「いえいえ、お気にならず…。近い内また会いましょうね、笹本くん。」
「…。」
矢吹さんは理事長に一礼すると、俺に向けてひらりと手を振って理事長室を後にした。
全力で遠慮願いたい所存である。
俺達は理事長室に入室済みだ。
因みに移動中、俺が矢吹さんと(主にセクハラで)激しい攻防を繰り広げている中、涼太はかなりおーどー君の扱いがうまかった…。話術のプロなみに。
あのおーどー君がたじろいぐほどだ。いっそ、師匠と呼んでやりたい。親父を呼ぶ涼太じゃあるまいし、呼ばねぇーけど。
「よく来てくれたね、外部からだと大変だったろう?」
「林を抜けるまでが大変でした。」
「俺は全然平気だったぜ!」
涼太とおーどー君が元気よく返事をする
「そうかそうか、お疲れ様。さ、立ち話もなんだから好きに座ってくれ。」
理事長にソファを勧められ、涼太と俺は理事長の向かい、おーどー君は理事長の隣に座った。
「それじゃあ、先ずは自己紹介からしようかな。私は一道智宏。一道学園理事長だ。そしてこちらの、杉崎紗夜の叔父でもある。」
おーどー君のボサボサの頭に手を添え、愛おしそうに目を細めながら理事長が自己紹介した。
「へへっ、智宏叔父さん…超イケメンだろ?」
「確かにとてつもなく萌…イケメン…!微かに感じるダンディズムが最高にセクシーです。しかも紗夜くんの叔父さんだなんて ま さ に 王道…!佐伯涼太感激です…!!」
「…?それはどうもありがとう?」
涼太が微妙に噛み合わない返しをしつつ俺も会釈で返した。
「早速ではあるんだが、この学園の事について知っているのかな?」
理事長が尋ねる。
「そりゃあ、もちろん!知ってます!」
「パンフレット、見ました。」
あと、親父からも聞かされた。
「俺は全然知らない。」とおーどー君。
意外だな。甥っ子だから知ってて来てると思ったんだけど…。
ちなみに涼太はそんなおーどー君に「ですよねー」と呟いていた。"王道君"ってのは皆そういうもんなのか…
「それじゃあ、とりあえず基本的なことから、この学園の特色を説明していこうか…。」
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