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恋するあの子は無表情
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side.灰斗@



「灰斗、お前転入生の案内しろ。」

唐突に何を言うかと思ったら、このバ会長はまた僕に自分の仕事を押し付けてきた。


「嫌です。3人もいるんでしょう?面倒なのはごめんですよ。」
「理事長からの命令だ。」
「貴方への命令でしょう?僕は関係ありません。」
「理事長命令を生徒会長命令としてお前に命令してるんだろ?」
「…貴方って本当に救いようのないバ会長ですね。」
「んだと?俺様に逆らうのか?」
「当たり前だろう。逆らいまくりたいですよ、死んでください。」
「あ?今何つったコラ。やんのか」


額に青筋を立てて睨みつけてくる一道学園生徒会バ会長。
そんなの怖くもなんともありませんよ。

それでも短気なこの会長様に逆らうと僕の無事は確実ですけど、この生徒会室内は無事では無いだろうし、そんな事案を何度も起こしていてはいくらバ会長のせいであっても生徒会の名折れですからね…。


あからさまに溜息をつく。

はぁ…面倒臭い。
何が面倒臭いってこの救いようのないバカの相手が面倒臭い。


「…解りましたよ。今回だけですよ。」
「ハッ、俺様の命令は絶対だからな。当然だろ。」

今回だけだって言ってんだろ。

「喉が渇いたな。矢吹、茶。」
「…。」

僕はこの傲慢な会長様にお茶を出すために席を立った。
今度は文句も言わずに動いた僕に機嫌を良くした会長は、ほくそ笑みながら鼻歌を口ずさんでいる。


まだ僕を甘く見ているのかい?高城。


これまでも散々お茶汲みをさせられてきた僕は、件の腹立たしさもそのままに、猫舌な会長様の為にアッツアツのブラックコーヒーを淹れて差し上げた。



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あきゅろす。
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