恋するあの子は無表情
6
涼太が俺を嫉妬心が激しい恋人だ!と告げてから、一体どれほど経っただろうか…。
校舎への第一の入り口である門は抜けたが、未だ正面玄関は遠く、何故こんな物が配置されているのか謎だが、ちょうど正門から玄関までの道中央にある噴水の辺りに差し掛かったところだ。
「なぁ!聞いてんのか!?」
お分かりいただけるだろうか。
俺のほぼ真横、視界斜め下から聞こえる怒声…。
「嫉妬するのはしかたねぇーけど、あんまりしつこいと嫌われるぞ?」
「お前にだけは…言われたくない。」
かれこれ8回近くは同じようなことを言われた…全部無視してるけど。
眉間をぐっと抑える。
俺には耐え難い、拷問みたいなものだ。
「俺はお前と涼太の為に忠告してやってるんだぞ!?」
「……。」
あぁ、うるせえ。
大声。
上からの物言い。
モジャモジャの髪。
分厚い瓶底メガネ。
「おい!聞いてんのか!?また無視…」
「俺、お前嫌いだ。」
「…は?!」
俺はそれだけ言い切っておーどー君を無視して足のリーチをここぞと活かしてズンズン歩いた。
後ろでは喚き騒ぐおーどー君と、そんなおーどー君に「それじゃ、」っと言ってそそくさと俺を追ってくる涼太がいる。
もう、二度と、アイツとは関わりたくない。
おーどー君から出来るだけ早く離れるために俺は急ぎ足で正面玄関へ向かった。
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!