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恋するあの子は無表情



…涼太の提案で不本意ながらしばらく、おーどーくんを観察していたが…



彼には…学習能力が…ない、のか?
何度も何度も登っては、べしゃっと落下している。痛そう。


涼太も最初は、やっぱり王道だ!とか、萌える。とか…言っていたのに。今は、まだ来ないのか…。とか、焦らしてるんですね解ります。とかぶつぶつ独り言を言っている。

はっきりいって、怖いぜ…涼太…。


「もう…俺、行くわ…。」

これ以上見ていても時間の無駄だと思った俺は、ずっと座りっぱなしだった体をんーっと伸ばし、思考が完全に飛び立っていて俺の声なんて聞こえていないであろう涼太を放って立ち上がり門の側までいく。


おーどー君と涼太には、まだ気づかれていない。

そして驚くべきことに門の端にはインターフォンがあった。



なんだ…入る手段、あったのか。
俺は、一瞬も躊躇わずインターフォンを押した。


ピンポーン


あ、フツーだ。





ーーーーーーー



しばらく待っていると、スピーカーから笑いを堪えている様な男性の声が聞こえてきた。


「ふっ、ククッ…誰だ?」
「ども……明日から転入する事になっている…笹本文人です。」
「あぁ?…ん、後1人はどうした?」
「えー…と…。」

涼太が座っている方を指差す。

「ほぅ。俺はここの警備をしている、奈良原だ。ところで…そこの猿は知り合いか?」

猿…?…あ、おーどー君のことか。

「……。」

俺は首を横にふる。


「そうか……ぶふっ!」
「……。」


おーどー君がまた門から落ちた。…そしてまた登る。
あれ、もしかしておーどー君めちゃくちゃ馬鹿なんじゃね?
警備員さんも笑ってないで気づいてたなら何か言ってやれよ…


「あの…校内、入りたいんですけど。」
「くくくっ、あぁ、今開ける。」

目の前の門がゴゴゴッ…と物凄い音をたてて開いた。

その時、扉の振動でまたしても落下したおーどー君を見て…笑っている警備員さんの笑い声が聞こえた。



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あきゅろす。
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