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「ルビーンもか」
ケーニッヒがそう呟く。フィデルは頷いて、そうして頭を下げた。
「どうか、ルビーン様に許可を」
「………同じくしてやりたいのは、山々だが」
頭を抱えたケーニッヒは、アインスを見やると苦しげに一つ唸った。
「何しろ、ルビーンは国の第一王子…次期国王となることも後継の儀で決まっている」
「父上」
アインスが口を開く。二人の視線を受けながら、ゆっくりと言葉を続けた。
「レーゲンみたいに何度も外に出たい、という我が儘は言いません。ただ、……ただ…この花を、ズィルバーに手向けたいのです。一度だけ」
「……花を?」
「私からも、お願い申し上げます」
アインスの手に握られた花を見て、ケーニッヒはすっと目を眇めた。暫し、沈黙が訪れる。
「………今まで、お前が数度外へ出た際の付き添いはズィルバーだったな」
アインスとフィデルが、ゆっくりと顔を上げてケーニッヒを見る。
「フィデル。第一王子の護衛は重いぞ…お前に務まるか」
「……必ずや、全うしてみせます」
膝を付き、恭しく頭を垂れるフィデル。アインスも、喜びに頬を染めながらケーニッヒを見つめた。
「日暮れまでには帰ること。……行ってこい、ルビーン」



どこか嬉しそうなドライに見送られ、フィデルとアインスは城を出た。
「……フィデル」
「はい、何でしょう」
「ありがとう。父上を、説得してくれて」
微笑を湛えたアインスが、雲の浮かぶ空を見上げて独り言のように呟く。
「ズィルバーがね。フィデルのこと、こっそり誉めてたんだよ」





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あきゅろす。
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