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「…ごめんなさい、勘違いして」
ヒールから事情を聞くと、タンナはそう謝った。大丈夫、と笑ったコッブは、タンナへ近寄って握手を求めた。
「よろしく、タンナさん」
「……えっと、…よろし、く」
差し出された手を見て、刹那身を竦ませるタンナ。恐る恐る手を出せば、冷え切った指先に温かい体温が触れた。
「うわ、冷たい……タンナさん、ずっとここに?」
「え、…ああ」
「タンナさんとは、いつもこうやって会っては一緒にお話するんですよ」
嬉しそうなヒールの言葉に、え、とコッブが声をあげた。
「いつもって…昼行性のタンナさんが?」
「あ、いや、それは!」
俄かに慌てだすタンナ。ヒールがきょとんと首を傾げると、アハハ、と誤魔化すように乾いた笑い声をあげた。
「寝る間も惜しい、って言うか、なんていうか、」
「ふーん…元気なんですねえ」
「まーそれほどでも!ほら、俺達は寿命短いし!仲間といられる時間も、」
「……タンナ、さん?」
そこまで言って、タンナはぴたりと言葉を止めた。ヒールとコッブの表情が、不安げに陰る。
「……タンナさん。どうして、泣いているんですか…?」
ゆっくりと膝を折って泣き崩れる。誰もいない湖に、タンナの泣き声だけが幽玄に響いていた。
第二章 ニンゲン
(それは、自然という名の世界を脅かす災厄)
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