12
寝床に戻ったヒールと別れ、タンナは朝日の差し込む森の中を飛び回り始めた。
「今日もいい天気だなぁ…!」
森の生き物も幾らか目を覚ましたらしく、どこからともなく囁くような話し声や挨拶が聞こえてくる。
ロークスとカストフに会いに行く前に、顔でも洗おうかと湖の方へ飛んでいく。と、湖面の浮き草にとまり身繕いをしているラフィの姿が目に留まった。
声をかけようとして、すぐ傍の木に目がいく。
「ん…あれ、ビルドさん…?」
そこには、木にとまったままラフィを見つめるビルドの姿があった。
夜行性の彼が、ここにいるということは。
(ははぁ、ビルドさんって確か…)
その視線にはどこか熱がこもっていて、朝焼けのような明るさの中、ビルドの顔は少しばかり紅くなっているように見えた。近くの木の上の方にとまって、二匹の様子を窺うタンナ。
「……ラフィ…」
ビルドの呟きに、タンナはやっぱりと頬を緩めた。
ビルドとラフィは、所謂両想いだった。未だに付き合いの無いのが不思議な程に。
(告白するつもりなのかな…)
一大決心をしているようなビルドの固い表情に、頑張れ!と心の中で檄を飛ばすタンナ。
何度か逡巡した挙げ句にビルドが飛び出さんとした、その時。
「おい、こっちに何かいそうじゃねー?」
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