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HAPPY SMILE(バレンタイン)


「ナミすゎ〜ん!ロビンちゅわぁ〜ん!おやつですっ!」


「わぁっ美味しそう!」


「アラほんと」



春の陽気が漂う、穏やかな昼下がり。

愛しのナミとロビンにおやつを届けにきたラブコック。

出されたおやつは、
今日は二人とも別々のもの。


ナミには、オレンジとチョコレートのムース。

ロビンにはビターチョコレートのブラウニー。


「…そういえば、今日はバレンタインだったわね」


「…あっ、本当!春島だからすっかり忘れてたわ」


そう言っておやつに目を輝かせる乙女達に、サンジはニコリと笑う。


「僕の愛を、どうぞお受け取」

「いただきま〜す」


「フフッ、いただきます」


お約束の愛のメッセージを全て言う前に、二人は出されたおやつを食べ始めた。

大袈裟なほどに落ち込んでいるサンジを気にもせず、お互いのおやつを食べ合いっこしている。


「ん〜美味しい!」


「とても美味しいわ、さすがコックさんね」


その褒め言葉にシャキッと立ち直ったサンジは、礼儀正しく一礼をしてその場を後にした。

サンジにとっては『美味しい』の一言が最高の褒め言葉。
その言葉が聞ければ彼は大満足なのだ。


(さて次は…)


笑顔で次に向かった先は、賑やかな甲板。


「おーいクソ野郎共!おやつの時間だ」


その呼び声に、甲板で戯れていたルフィとチョッパーとブルックが駆け寄ってくる。


「おやつ〜〜〜!!」


「あっ待てルフィ!ずりぃぞ!」


「ヨホホホ〜!私が一番です!」


我先にと、今にも飛びかかってきそうな三人をサンジはヒラリとかわす。


「心配しなくても今日のおやつはちゃんと一人ずつあるから、落ち着け」



ルフィには大量のチョコチップクッキー。

チョッパーにはスウィートチョコのマカロン。

ブルックには抹茶のトリュフ。


「うほーーっ!うまほーーっ!!」


キラキラと嬉しそうな顔でおやつを受け取る三人。
きっと今日がバレンタインだということも気づいていないだろう。


「うめぇー!!」


「サンジっ!うまいぞ!」


「美味しくてほっぺたが落ちそうです!あ、私ほっぺたなんてないんですけどー!」



結局の所、互いのおやつの取り合いになってしまったのは気にせずに。


サンジはまた笑顔になって、次なる場所、ガラクタ工場へ向かった。



「おーいブレイクタイムだ。おやつ食え」


ウソップとフランキーは作業の手を止めて、嬉しそうに振り向いた。


「今日のおやつは何だ!?」


ウソップには、カラフルなチョコレートマフィン。

フランキーには、星形のガトーショコラ。



「今日は別々のおやつか!?」


「何かあったのか、グルグル」


「ん〜?別に何も」


出されたお絞りで汚い手を拭きながら、機嫌が良さそうなサンジにハテナマークを浮かべる二人。


「食い終わったら、ちゃんとキッチンに皿持ってこいよな」


そう言ってその場を後にして。



「うんめぇーー!!」


「いいや、コッチの方が美味い!!」



ドアを閉めた後に聞こえてきた歓喜の声に、サンジはまた笑顔になる。






そして、最後は。



大の字で昼寝をしている愛しの恋人、ゾロの元へ。




「………ゾーロっ」


「………んぁ…?」


名前を呼ぶと、ゾロは眠そうに瞼を開けた。

いつもなら悪態を吐いて乱暴に起こす所だが、今日のサンジは上機嫌。

ゾロに乗っかり、甘えるように抱きつく。


「…どした?」


それに答えるように、ゾロはサンジの柔らかい髪を優しく撫でた。


「……ん…あのな、コレ…」


「…?」


綺麗なラッピングを施した小さな包みを目の前に、ゾロはサンジを抱きしめながら体を起こした。

「…今日…バレンタイン、だから」


少し照れながら目を逸らすサンジが、とても愛しい。

ゾロは目を見開くと、優しく笑ってそれを受け取った。


「……ありがとな。開けてイイか?」


サンジがコクリと頷くと、ゾロは丁寧にラッピングを外していく。





ゾロには甘さ控えめの、


ハート型のウイスキーボンボン。



現れた可愛らしい形に、ゾロの頬が思わず緩む。


「…だ、だらしない顔してんじゃねぇよっ」


「あ?…悪ぃ、嬉しくてつい」


「〜〜、さっさと食え!溶けちまうだろっ」


照れ隠しだろう、キャンキャン吠えるサンジが、また愛しくなる。

食べるのが少々勿体なかったが、サンジの機嫌を損なっては困るので、ゾロは一粒摘んでパクリと食べた。





「……!…最高にうめぇ」


そう言って幸せそうに微笑むゾロ。



「…当たり前だ」




一番大好きな人からの、

一番の褒め言葉。



「愛がいっぱい詰まってるからなっ」





胸がいっぱいでたまらない。


サンジもまた、
今日一番の笑顔で幸せそうに微笑んだ。



end.

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