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長編3 黒バス×TOL
第6話


入ってきた少女に黒子達は首を傾げたが、ウィル達はその少女を視界に入れると。

「「「「フェニモール!!」」」」

「フェモちゃん!?」


驚きの声を上げて、ちなみにフェモちゃんと呼んだのはノーマだ。

一方黒子達は少し疑問に思った。

黒子の説明やステラの説明で聞いた水の民と陸の民の深い溝、先ほどでもウィルは現在水の民は結界を貼り、外界からのコンタクトを拒絶していると言っていた。

それなのに、何故この目の前の水の民と思われる少女は普通に陸の民の街に来てウィル達とも知り合いなのだろうか?

ノーマの呼び方でも親しい間柄だと予測出来る。

「こんにちは、皆さん……えっ…シャーリィのお姉さんに…知らない陸の民…」


ウィル達には笑顔で挨拶した少女だが、亡くなったと思われていたステラの姿に驚き、またウィル達以外の人物、つまり赤司達には若干恐怖で震えていた。

そんなフェニモールと呼ばれた少女の様子に、震えられている赤司達は何も言うことが出来ず、親しいとはいえ陸の民である自分達も傍に寄る行って良いのかウィル達も躊躇い、結果同族であるステラと黒子が傍に行った。

「…フェニモール…大丈夫よ…この人達も私たち水の民を傷つける陸の民とは違うわ…落ち着いて…私はこの人達に助けられて、今ここにいるのよ…」

「フェニモールさんでしたか…彼らは僕の大切な友人であり尊敬する人です。決して貴方を傷つけるようなことはしません」

ステラの言葉にフェニモールは少し落ち着いて、また黒子の姿を観て驚きで目を見開く。

創我と同じ綺麗な水色の髪に青の瞳…それは水の民にとっては神秘的な創我の半身の証であるメルネスを導くと言われている人。

「……貴方はもしかして…メルヴィオ様…ですか?」

フェニモールの問いに黒子は沈黙し、その対応でフェニモールは理解した。

目の前の人が創我の半身とも言えるメルヴィオだと。

黒子がメルヴィオだと理解した瞬間にフェニモールは今まで震えていたのが嘘のようにキッと黒子を睨みつける。

「…貴方は三年間今までどこで何をしていたんですか?…この三年間で沢山の仲間が殺されました…そんな三年間、あなたは今までどこで何をしていたんですか!?」

フェニモールは黒子につかみかかる。

突然のことに全員驚くが、とにかく黒子が責められているのがわかると、キセキの世代や相棒組は黙っている訳にはいかないので、黒子の近くにいた赤司が2人の間に入ろうとするが…

「赤司くん…大丈夫です。止めないでくださいね。彼女の訴えを聞くのは僕の責任ですから…」

「…黒子…しかし…」

「お願いします」

黒子の真剣な表情に赤司はこうなった時の黒子の頑固さは知っているので、ため息をつきながら2人を見守ることにした。

赤司がそうしたので他のメンバーも不安そうな表情をしながらも赤司同様に2人を見守ることにした。

フェニモールの激情にウィル達も驚いていた。

彼女がここまで感情を表に出したのは初めて観たからだ。

一方ステラだけはフェニモールが黒子に詰め寄る理由は何となく察していた。

フェニモールは暫く黒子の服を掴んで睨みつけていたが、やがて手を放し少し距離を取り俯く。

「私たち水の民の間ではメルネス様が産まれた時に希望が生まれました。二年後にメルヴィオ様…貴方様が産まれ水の民達は希望に満ち溢れてました。でも三年前にお二人の住む里が襲撃されメルヴィオ様はお亡くなりになられたと風の噂でききました。だからこそ水の民の希望はメルネス様に…シャーリィに全て委ねられました!」

フェニモールの言葉に黒子もフェニモールの怒りの理解した。

その怒りの理由が嬉しくなった。

だって彼女がここまで怒っている理由は…。

「貴方がいなくなったからシャーリィが水の民の全てを背負わなければならなくなったんですよ!」


義姉でもあるシャーリィをメルネスとしてではなく個人として大切に思っているからなんだから。

「今の水の民の里には唯一の支えであったお兄さんのセネルさんや、幼なじみのワルターさんも長の命で大陸の水の民の里に赴いていて…ステラさんも亡くなったって思っていたから…辛いはずなのに…泣きたいはずなのに…あの子…アーリアのぶんまで頑張らないとって言いながら笑うんですよ……私…どうやってあの子を支えれば良いのかわからない……」


自身の無力さに涙流すフェニモールに黒子は頭を下げ「ありがとうございます」とお礼を言う。

黒子に続いてステラも立ち上がりフェニモールの傍に行きお礼を言う。

「シャーリィのことを思って怒ってくれたのよね…ありがとう…」

「ありがとうございます」

その言葉にフェニモールはハッとして頭を下げて「ごめんなさい!」と黒子に謝罪する。

「私…メルヴィオ様に八つ当たりして…私…自分の無力が許せなくて…無理しているあの子に弱音を吐かせることも出来なくて……メルヴィオ様にも何か事情があったのも何となく理解しているのに…すみませんでした」


謝罪するフェニモールに黒子は首を横に振る。

「それだけシャーリィを大切に思ってくださり本当にありがとうございます」

黒子の言葉に漸く部屋中を漂っていた不穏な空気が消えた。

「え〜と…つまりフェニモールちゃんだったけ?フェニモールちゃんはそのシャーリィちゃんの為に黒子のことを怒ってったってことでしょ?何だ…凄く優しい子じゃん」

空気が変わったのもいち早く理解した高尾がフェニモールの傍に行きながら笑う。

「…あっ…えっと…」

突然傍に寄ってきた高尾にフェニモールは少し震える。

キセキの世代も相棒達もこの世界の人間ではないが、容姿は陸の民だ。

しかもフェニモールからしたら見知らぬ陸の民だ。

怖がるのも無理はないだろう。

「あっ…ごめんごめん!急に知らない人間に話しかけられたらビックリするよね。俺は高尾っていうんだ!宜しくね!」


宜しくと手を差し出す高尾にフェニモールもおずおずと「…宜しくお願いします…」と手を差し出す。

とりあえず、黒子達もウィル達も全員思った。

高尾のコミュ力がハンパない!と。

「…流石高尾君ですね…あの緑間君の相棒をするだけはありますね…フェニモール…彼らは僕の友人たちです。決して水の民を傷つける陸の民ではありません。改めて皆さん自己紹介しましょうか。僕は黒子テツヤでありアーリア・ウェルリアンです」

2つの名前を名乗る黒子に首を傾げるが、フェニモールもきちんと自己紹介をする。

「『希望の絆』…やっぱり凄い誠名ですね。私はフェニモール・ゼルヘスです」


「貴方の誠名も十分素敵ですよ」

黒子の言葉に赤司がフェニモールの誠名の意味を尋ねる。

黒子はフェニモールに教えて良いのか尋ね、フェニモールも陸の民が全て残忍ではないと理解しているので傾く。

「フェニモールの誠名ゼルヘスには『祝福』という意味があるんです」

黒子の言葉に本当に素敵な名前だと思い赤司たちも自己紹介をした。

そして全員の自己紹介が終わると、黒子はフェニモールにもウィルの仲間達にした説明をした。



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あきゅろす。
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