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長編3 黒バス×TOL
第5話

ウィルの家に着くとウィルはそれぞれ座ってくれと言ってお茶の用意をしにいった。

手伝おうと桃井が言い出したので、桃井の料理レベルを知っているメンバーは桃井を止めるのに全力で、残りのメンバーはウィルの言葉に甘えてリビングのソファに座らせて貰った。

「待たせたな…まぁ堅くならなくて良い。でもステラ…何があったかは知らないが君が無事で良かったよ…セネルもシャーリィもワルターも心配していたからな…」

「ご心配をおかけして申し訳ありません」

ウィルは1人1人にお茶を出して、そしてステラの無事を喜びを見せる。

紅茶を出されメンバーは1人1人お礼を言い、赤司が立ち上がり頭を下げる。

「お気遣いありがとうございます。俺は赤司征十郎と言います…きちんと名前を名乗ってないにも関わらず失礼しました」

その話し方はやはり名家の御曹司といったところか、そして赤司の言葉に全員自己紹介をしていないことに気がつき赤司に続き名前を名乗る。

それぞれの名前を聞いてウィルは視線を黒子に向ける。

「変わった名前だな…それに黒子君だったかな…?その髪の色に青の瞳…君がセネル達が探していたアーリアか。名前は聞いていたが会うのは初めてだな…それにしてもセネルやワルターと違い君は礼儀正しそうだな」

ウィルの苦笑に観たことはないが、ウィルに出会った頃のセネルとワルターはすごかったんだろうな。

そのことを考えているとウィルは「まぁ想像通りの態度だ…」と苦笑した。

「ところでウィルさんと仲間の方々には私やシャーリィを助ける為に尽力してくださりありがとうございます。それに妹や弟や幼なじみがお世話になりました」


ステラは自分やシャーリィを救出するために尽力してくれ、三年間セネル達がお世話になったウィルにお礼を言う。

「礼は良い…大切な人と離れ離れになるのは辛いことだろ。俺があいつらに協力したくて協力しただけだ」

黒子は会ってほんの少ししか経ってないのに、ウィルの態度に好感を覚えた。

あの陸の民に憎しみを抱いていた2人が考えを改めたのもわかった気がした。

「ところで聞きたいんだが、あの艦橋でステラ…君は衰弱していてとても助かる状態じゃなかった…しかも明らかに一度は止まった心臓が動きだし…身体が消えた…ステラの身体の消失に行方不明…戦争後のゴタゴタで君は亡くなったと思われていた。でも君は戻ってきた…しかも変わった連中を連れて…何があったか教えてくれないか?」


ウィルの言葉に黒子達は、信じて貰えないような突拍子のない話だが、きちんと話をしたほうが良いと思い、三年前から黒子が異世界にいた時から、ところどころは話を省きながら、こちらの世界に戻ってきたことまで簡潔に説明した。

ウィルは異世界という単語に多少は驚き目を見開いたが、大人らしく話の途中に言葉を挟んだりはしないで最後まで聞いてくれた。

「…そうか…信じられないような話だが…変わった名前の人間にステラの消失…何より君の存在が証拠になるだろう。三年間、ずっと行方不明だった…しかも当時は10歳だった君が現在は16歳…信じるしかないな」

ウィルの言葉にとりあえず信じてくれたことに全員ホッとした。

信じられない話だが、まず信じてくれないと話を先に進めることが出来ない。

「話を信じてくださりありがとうございますウィルさん」

「別にウィルと普通に読んでくれて構わないが、君のことは黒子君と呼ぶべきか?それともアーリアと呼ぶべきか?」

「敬語は僕の標準装備なので、気にしないで下さい。それと呼びやすい呼び方で構いませんよ。黒子テツヤもアーリアもどちらも僕の名前ですから」

「そうか、なら俺はアーリアと呼ばせて貰うよ。三年間ずっと君のことはセネル達に聞いていて聞き慣れているし呼びやすいからな」

「はい、わかりました」

話に一区切りがついたのを確認してステラが気になっていたことを確認する。

「あのウィルさん…私の感覚ではあの艦橋での出来事から、そんなに時が経ってないのですが、あれからどれぐらいの月日が経ったのですか?」

ステラの問いにウィルは「約1ヶ月ぐらい」と答える。

黒子の成長で時間の流れが違うのは全員理解していたが、恐らくこちらの時間の流れのほうが遅いのだと仮説が出来ていたが法則はないようだ。

ステラの時間感覚では艦橋での出来事から1日程度だが、こちらでは1ヶ月の月日が流れている。

まぁもともと違う世界なのだから、確実という時間法則がないのは当たり前かと全員は思った。

「あれからセネルもワルターもシャーリィも水の民の里に帰った。まぁそれが本来あるべき形なんだが…三年間一緒に暮らしてきたから少し寂しくはあるな…」


ウィルの言葉に黒子もステラも嬉しくなる。

それだけウィルは三人を大切に思ってくれていたのだ。

その時にコンコンと玄関の扉をノックする音が聞こえて全員振り向くと、自分たちも他人のことをいえないが、なかなか個性的な4人の男女が入ってきた。

キリっとした女性に、全体的に黄色の服が特徴の騒がしい女性、背が小さく少年のようだがこのメンバーの中で一番落ち着いて冷静な少年、そして自分たちの世界では確実に警察に捕まるだろうと全員が思う、視界にはあまり入れたくない半裸の男性…。

うん、実に個性的そうなメンバーだ…特に半裸!

目に毒だ!服を着ろ!服を!!

ウィル以外の全員の感想だ。

「………………」

お互いが無言で見つめ合う。

キセキの世代の相棒組は思った…恐らく向こうもこちらを個性的なメンバーだと思っているんだろう。

特にキセキの世代(黄瀬は現在黒髪だが)はカラフルすぎる。

沈黙が痛いが…そんな微妙な空気の中で黒子は立ち上がり、半裸男の前に立ち容赦なくイグナイトを叩き込む。

「すみません…あまりに目に毒だったのでつい…」

謝罪はしているが、全く悪気はないようだ。

「いきなり何するんやワレは!?」

イグナイトにより倒れた半裸男は腹を押さえながら喚く。

しかし黒子の行動に続くように次は赤司が半裸男の傍に行き肩に手をおきアングルブレイクを決める。

突然尻餅ついた半裸男は当然驚いて目を見開き赤司を見上げる。

「テツヤの視界に入るな。僕も貴様のような品性のカケラもない男を視界に入れたくない」

どうやら再び僕司の登場であるが、赤司のアングルブレイクを見てスカッとしたなんて初めてだと全員思った。

何か小柄で冷静そうな少年は「誰か知りませんが、良いですよ〜どうせならもっとやってください」と言っているし。

どんどんカオスになっていく。

「って…あ〜!セネセネとリッちゃんのお姉ちゃんのスーちゃんじゃん!生きてたの!?」

「ステラ殿!?生きていらしたのか…」

どうやらキリっとした女性と騒がしそうな女性はキセキの世代というカラフル集団の陰になっていたステラを発見して騒ぎ出す。

とにかくウィルの家は一気に騒がしくなり、家主のウィルはとうとう我慢の限界なのか「お前たちいい加減静かにしろ!」と言いながら半裸男と騒がしい女性に得意の拳骨を食らわせる。

この2人が拳骨ターゲットになったのは半裸男の常識を疑う服装が騒ぎの原因だし、騒がしそうな女性はやはり見た目通りに一番騒いでいたからだ。

ゴチンとあまりに良い音を出す拳骨に初めて見る黒子たちは震えていたが。

とにかく漸く静かになったので、ステラや黒子やウィルが中心になって今の状況を説明した。

黒子がセネル達が探していたアーリアであることや異世界で過ごしていたこと。

ステラが黒子のいた世界に飛ばされたこと。

そしてこのウィルの家にやってきた4人は共にステラやシャーリィを助ける為に戦ったウィルの仲間であること。

全ての説明を聞きお互いの自己紹介をする。

どうやらキリっとした女性の名前はクロエ・ヴァレンス、この世界の聖ガドリア国の名門騎士の家の者で、騒がしい女性は自称すご腕トレジャーハンターのノーマ・ビァッティ、冷静そうな少年は情報屋として有名なジェイ、そして半裸男は山賊のモーゼス・シャンドルと言うらしい。

お互いの自己紹介が済むと騒がしい女性ノーマはポンと手を叩く。

どうやらノーマは自分専用のニックネームをつけるのが趣味らしく、ウィルいわくセンスゼロらしい。
全員嫌な予感がしたがノーマはもう決めたようだ。

結果。

黒子→クロクロ。

火神→カーくん。

黄瀬→キッくん

笠松→マツっち。

青峰→ミネ君

桃井→モモちゃん。

緑間→ミドくん。

高尾→タカっち。

紫原→ムラくん。

氷室→ムロムロ。

赤司→アーくん。

黛→ズミっち。

とりあえず黒バスメンバーは全員思った。

センスなさすぎだ!
赤司なんて目が据わってるが脳天気なノーマにはあまり効果がない。

ウィル達はまた新たなノーマのセンスゼロのネーミングセンスゼロの犠牲者が出たと思った。

高尾だけは笑っていたが…。

とりあえず、もう何を言ってもノーマがニックネームを変える気は無さそうなので、全員諦めた。

とりあえず空気を変えようとクロエがウィルに声をかける。

「ところでレイナード、私たちを呼んだ理由は何だ?」

「あぁ、実はマダム・ミュゼット殿からマウリッツ殿に親書を預かってな…だが水の民の里はあの一件以来結界を張っている為にどうしたものかと相談しようと思ってな…」

「結界なら僕やステラで解くことが出来ますが…僕たちはこの遺跡船での里の場所がわかりませんからね…」

どうしましょうか?と悩んでいる時に再び入り口からノックの音が響いて、全員が視線を向けると1人の女の子が入ってきた。

その女の子の髪は綺麗な金色の髪をツインテールにしていて、瞳は黒子やステラのような青の瞳、服装はステラが着ているような青と白を基準とした独特な服。

この世界の人間じゃないキセキの世代や相棒組でもわかった。

この少女は水の民なのだと。



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