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バレンタインデー

「結果は?」


結果なんてわかってるくせに、わざわざ聞いてくる高島に苛立ちながら、いやいや結果を発表する。


「…俺が4個で、お前が……16個。…お前の勝ちだ。何でも言えよ。」

「そうか…。でも、まだバレンタインは終わってないよな?」

「何だよ。お前まだ貰う気か?」


俺が尋ねると高島は自分の鞄を探り出す。


「…はい。これ。」


そして、赤いラッピングの箱を突き出す。


「いらねーよ。お前が貰ったチョコだろ?」

「違う。お前に。あと、これも、これもこれも、これも…」


俺の手の上にはどんどんとチョコが増えていく。

あっという間に高島のチョコの数を越えた。


「どういう事だよ。それに、こんなに誰から?」

「……俺。」

高島はさっと目を反らすと、ボソッと呟く。

「え?」

「…これで、お前の勝ちだな。」

「お前…。」


高島は俺に勝つ気なんかなかったんだ。

俺は高島の意図に気づき、思わず抱き着いた。

そして、ぱっと体を離すと言う。


「じゃあ、言うこと聞けよ。」

「は?だって、これは…」

「勝ちは勝ちだろ?じゃあ、言うぞ。


………一生俺ら友達だからな。」


俺は高島も笑ってくれると思って、満面の笑顔で言ったのに、高島は何故か少し赤い顔をして、困った様子を見せる。


「………それは、きけない…かな。」


高島は長いため息をついた後、そう言った。


「何でだよッ?!」


俺が身を乗り出すと、その肩を両手で掴まれ、高島の顔が近づいてくる。

触れるか触れないか…、それくらいで、高島は振り返ると、ささっさと教室の出口へ歩き出した。



「……気づけよ。」


END




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