バレンタインデー
2
「結果は?」
結果なんてわかってるくせに、わざわざ聞いてくる高島に苛立ちながら、いやいや結果を発表する。
「…俺が4個で、お前が……16個。…お前の勝ちだ。何でも言えよ。」
「そうか…。でも、まだバレンタインは終わってないよな?」
「何だよ。お前まだ貰う気か?」
俺が尋ねると高島は自分の鞄を探り出す。
「…はい。これ。」
そして、赤いラッピングの箱を突き出す。
「いらねーよ。お前が貰ったチョコだろ?」
「違う。お前に。あと、これも、これもこれも、これも…」
俺の手の上にはどんどんとチョコが増えていく。
あっという間に高島のチョコの数を越えた。
「どういう事だよ。それに、こんなに誰から?」
「……俺。」
高島はさっと目を反らすと、ボソッと呟く。
「え?」
「…これで、お前の勝ちだな。」
「お前…。」
高島は俺に勝つ気なんかなかったんだ。
俺は高島の意図に気づき、思わず抱き着いた。
そして、ぱっと体を離すと言う。
「じゃあ、言うこと聞けよ。」
「は?だって、これは…」
「勝ちは勝ちだろ?じゃあ、言うぞ。
………一生俺ら友達だからな。」
俺は高島も笑ってくれると思って、満面の笑顔で言ったのに、高島は何故か少し赤い顔をして、困った様子を見せる。
「………それは、きけない…かな。」
高島は長いため息をついた後、そう言った。
「何でだよッ?!」
俺が身を乗り出すと、その肩を両手で掴まれ、高島の顔が近づいてくる。
触れるか触れないか…、それくらいで、高島は振り返ると、ささっさと教室の出口へ歩き出した。
「……気づけよ。」
END
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