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バレンタインデー

最近、いつにも増して、クラスの女子が騒いでいて、男子もそわそわと女子の話を気にしてしている。

それは、きっと、バレンタインデーが近づいているからだ。

俺は机にうなだれ、勝手に前の席に座っている高島に話しかけた。


「今年も母ちゃんと妹からだけかなぁ。」

「いいな。お前の妹可愛いじゃん。」

「お前、女兄弟いないんだっけ?…なぁ、チョコいくつ貰えるか勝負しようぜ。」


妹がいる分、俺が一個有利だ。
しかも、こいつ普段女子とも話してないしな。

俺は内心ニヤニヤしながら、勝負を持ち掛ける。


「いいよ。勝ったら何する?」


高島も面白そうだと即答する。


「勝ったら、……一つだけ何でも言うこと聞く。」


俺は少しだけ考えると、勝者の特典を決めた。

まあ、正直勝つだけでも嬉しいけどな。


「わかった。」







「…おい。お前…、何でそんなにチョコ持ってんの?」


バレンタインデーの朝、高島はいくつかのリボンでラッピングされた箱を持って現れた。


「んー。なんかわかんないけど、毎年くれるんだよなー。」


普段見慣れていた顔をよく見れば、確かにイケメン。

それでもまだ、俺は実際に高島がチョコを貰っている所を見ていないので、疑っていた。

しかし、休み時間になる度に、頬を赤く染めた女の子達が高島を呼びに来る。

そして、教室に戻ってきた高島の手には綺麗にラッピングされたチョコ。


「先に言えよ。おまえーーッ!!!」


皆にはやし立てられ、苦笑いで帰ってくる整った顔を見ながら、俺は叫んだ。




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