バレンタインデー
1
最近、いつにも増して、クラスの女子が騒いでいて、男子もそわそわと女子の話を気にしてしている。
それは、きっと、バレンタインデーが近づいているからだ。
俺は机にうなだれ、勝手に前の席に座っている高島に話しかけた。
「今年も母ちゃんと妹からだけかなぁ。」
「いいな。お前の妹可愛いじゃん。」
「お前、女兄弟いないんだっけ?…なぁ、チョコいくつ貰えるか勝負しようぜ。」
妹がいる分、俺が一個有利だ。
しかも、こいつ普段女子とも話してないしな。
俺は内心ニヤニヤしながら、勝負を持ち掛ける。
「いいよ。勝ったら何する?」
高島も面白そうだと即答する。
「勝ったら、……一つだけ何でも言うこと聞く。」
俺は少しだけ考えると、勝者の特典を決めた。
まあ、正直勝つだけでも嬉しいけどな。
「わかった。」
「…おい。お前…、何でそんなにチョコ持ってんの?」
バレンタインデーの朝、高島はいくつかのリボンでラッピングされた箱を持って現れた。
「んー。なんかわかんないけど、毎年くれるんだよなー。」
普段見慣れていた顔をよく見れば、確かにイケメン。
それでもまだ、俺は実際に高島がチョコを貰っている所を見ていないので、疑っていた。
しかし、休み時間になる度に、頬を赤く染めた女の子達が高島を呼びに来る。
そして、教室に戻ってきた高島の手には綺麗にラッピングされたチョコ。
「先に言えよ。おまえーーッ!!!」
皆にはやし立てられ、苦笑いで帰ってくる整った顔を見ながら、俺は叫んだ。
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