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節分

『もしもし。今からお前ん家行ってもいいか?』

晃の家に向かいながら電話をかける。
左手に持つビニール袋の中には節分用の豆と俺特製の恵方巻。

着くまでの間に何度もそれを見てニヤニヤしている俺は、傍から見ればかなり不審だろう。
でも、後のことを思えば、笑みがこぼれるのも仕方がない。



「いらっしゃい。ん?何持ってるの?」

「今日、2月3日だろ?一緒に節分しようと思って。」

そう言って、豆と恵方巻を取り出し、見せる。

「おー。そういえば節分かぁ。あんまり祝ったことないなぁ。」

「じゃあ、俺が鬼のお面着けるから、晃は豆投げて。」

「よしっ!行くよー。鬼は外、福は内〜。」

「ははは。痛い痛い。」

「あ。ごめん!!大丈夫だった!?」

冗談で言ったのに、本気で心配して駆け寄ってくる。

「大丈夫。大丈夫。次は歳の数だけ豆を食べよう。」

「子供の時は少なくてもっとたくさん食べたかったけど、この歳になると結構多いね。」

晃は数えながら一個一個口に運んでいく。


「食べた?…じゃあ、次は  恵方巻  だ。」


「え?節分って豆まいて終わりじゃないの?」

「お前、恵方巻知らないのかよ。節分はこの恵方巻を無言でかぶりつくんだよ。」

「へぇー。さすが孝也。よく知ってるね。」

「まあな。さあ、これが晃ので、こっちが俺の。」




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あきゅろす。
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