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レンズ

最近、御主人様との時間が少なくなった。

それもこれも、全部あいつのせいだ。


「おはざいまーす。先輩」

爽やかに挨拶してくる今時のイケメン。

「…おはようございます。」

厭味なほど丁寧に、相手の目を見ることもなく挨拶を返す。

御主人様は学校に行くのもいつもあいつと一緒。

今までは私の役目だったのに。

私は御主人様を取られてしまった気がして、どうしてもあいつが気に入らなかった。

幸い、会うのは御主人様が学校に行く前と帰ってきた後ぐらいで、その時間も短い。

だから、別に関わらなくてもいいのに、何故かあいつはいつも挨拶をしてくる。

向こうから挨拶してきたのに、それを無視するのは礼儀に反するので一応返す。


それだけだったのに、ある日、気づくとあいつが隣にいた。

目を合わさない様に違う方向を向いて、話しかけるなというオーラを出した。

しかし、そのオーラもあいつには伝わらないらしく、話しかけてくる。

「あ。起きたッスか。おはざいまーす。」

「…おはようございます。」

それだけ返すと、いつも御主人様が来る方を見つめた。

早く来て下さい。御主人様。

そう願って。

こいつとの空間に長く居たくなかった。

しかし、いくら経っても、来ない。来ない。来ない。

いつもはもっと早いのに。

「ご主人様大丈夫ッスかねー?」

隣から聞こえてくる声。


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あきゅろす。
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