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レイニー

「ありがとう。でも、貸してあげない。」

そう言って、僕の傘を奪うと(まあ、僕が渡したわけだけど…)、それを僕と先輩の間に持った。

「なんでですかー。貸してくださいよ。先輩も濡れるじゃないですか。」

何度か先輩の傘を取ろうとしたけど、その度先輩は「だめー。」と言って避ける。

そのため傘に触ることさえできなかった。

「これでいいの。」


そして、なぜかわざわざ僕の家まで送ってくれた。もちろん、僕の傘一本で。

玄関前に着くと、先輩は素敵な笑顔で僕の傘を渡すと自分の傘をさして帰っていった。

それなら、最初から自分の傘さしてれば良かったのに…。

分からない。と首を捻りつつ家に入った。

「まー君、お帰りー。……あら??左肩だけ濡れてるけど、」

入ると同時にパタパタと母親が出てくる。まー君って言うのいい加減に止めてほしい。

そして、また、とんでもないことをニヤニヤしながら言い出した。

「もしかして、相合い傘でもしてたのー??」

「…っそ、そんなわけないだろっ。先輩が傘がないから、入れてあげてただけだよ。」

「ふーん。そうなのー。」

まだ、ニヤニヤしている母を置いて、自分の部屋に駆け込んだ。

END


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あきゅろす。
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