お前には敵わない
3
おれはもう気づいていたんだ。
このモヤモヤは嫉妬だということに。
でも、おれも男で優斗も男だから、この感情をどうしても認められなかった。
おれが女だったら、川口さんの様に優斗に言い寄ることができたのかな。
きっとダメだろうな。
女になってもおれはおれだから。
女になったからってこの顔だから美人になるわけないし。
優斗の周りにはいっぱい綺麗な女の人が居て、きっと平凡なおれには気づかない。
高校で優斗がずっとおれと居ることが不思議なんだ。
優斗も一緒にいるおれがこんな思いを持っていることを知ったら、もう一緒に居られないかもしれない。
でも、こんなに苦しくて、優斗のことしか考えられないんだから、もう認めるしかないんだ。
優斗が好きだということを。
おれは優斗が好きだ。
「どうしたの、こんなとこで。」
突然声をかけられる。
よく知った声だった。
泣いていたことを気づかれないように涙をふいて、顔を上げた。
すると、まだドレスを着たままの優斗が立っていた。
そして、泣いていたおれを慰める様に、全てを包み込む様に優しく微笑んだ。
「ねぇ、健太。私はあなたに小鳥になってほしいのです。ですが、そうなれば、私は可愛がりすぎて殺すかもしれません。」
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