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お前には敵わない

おれはもう気づいていたんだ。

このモヤモヤは嫉妬だということに。

でも、おれも男で優斗も男だから、この感情をどうしても認められなかった。

おれが女だったら、川口さんの様に優斗に言い寄ることができたのかな。

きっとダメだろうな。

女になってもおれはおれだから。

女になったからってこの顔だから美人になるわけないし。

優斗の周りにはいっぱい綺麗な女の人が居て、きっと平凡なおれには気づかない。

高校で優斗がずっとおれと居ることが不思議なんだ。

優斗も一緒にいるおれがこんな思いを持っていることを知ったら、もう一緒に居られないかもしれない。

でも、こんなに苦しくて、優斗のことしか考えられないんだから、もう認めるしかないんだ。



優斗が好きだということを。

おれは優斗が好きだ。


「どうしたの、こんなとこで。」

突然声をかけられる。

よく知った声だった。

泣いていたことを気づかれないように涙をふいて、顔を上げた。

すると、まだドレスを着たままの優斗が立っていた。

そして、泣いていたおれを慰める様に、全てを包み込む様に優しく微笑んだ。

「ねぇ、健太。私はあなたに小鳥になってほしいのです。ですが、そうなれば、私は可愛がりすぎて殺すかもしれません。」


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