お前には敵わない
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女子の制服を着た男子
コスプレやカラフルなお揃いのTシャツを着た生徒達
普段は真面目な先生もアフロのかつらをかぶったりとハメを外している。
今日の学校はいつもと違う雰囲気に包まれている。
それもそのはず、今日は文化祭だ。
1年は劇をすることになっていて、おれ達のクラスはロミオとジュリエットを男女逆ですることになった。
もちろんジュリエットは優斗。
そしてロミオはクラスで1番綺麗な川口さんがすることになった。
川口さんが優斗を好きだということは有名だったみたいで、クラスの女子がやたらとロミオ役に川口さんを押していた。
だから、ここ一週間、優斗は放課後や休み時間までも川口さんと練習していた。
その間、役も何もあたってないおれは一人。
優斗は台詞も多くて、たくさん練習をしなければいけないことも分かっている。
でも川口さんが優斗のことを練習に誘いに来る度に、モヤモヤした気持ちがおれの中に広がっていく。
だんだん酷くなっていくこの気持ちが何なのか分からなくて、みんなが楽しんでいる文化祭もおれは楽しむ気分になれないでいた。
「健太、もうすぐ僕達のクラスだよ。」
隣で一緒に他のクラスの劇を観ていた優斗に声をかけられる。
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