お前には敵わない
12
トイレに床に倒れている、惨めな宮本。
「あー。殺したい。振られた分際で健太の行動、決められると思ってんの?随分おめでたい奴だね。宮本くん。」
僕は嘲笑しながら言う。
宮本は手に力を入れ立ち上がろうするが、すかさず腹を蹴る。
「でも、宮本くんのおかげで健太と、もーっと仲良くなれたからね。手加減してあげる。良かったねー。」
そう言い、何度も宮本を蹴りつけた。
これから触れる健太を汚したくないから、手は使わない。
最初は呻いてうるさかった宮本も今は呻く力も無くなったのか、あまり反応しなくなった。
つまらないなぁ。と呟き、興味を失った宮本を離れる。
ポケットからハンカチを取り出すと、水で濡らした。
それを細長い指で丁寧絞り、宮本の方を一度も向かずにトイレを出ていく。
「ごめん。遅くなって。…あれ、寝ちゃったかぁ。泣き疲れちゃったんだな。」
第二会議室に入ると、無防備に床で寝ている愛しい人。
その頬が夕陽で照らされ、調度睫毛にくっついた雫はキラキラと美しく輝いている。
「それにしても、…どうしよう。」
その上に濡らしたハンカチを置き、僕は腕組みをして考えた。
しばらくの間考えた後、健太の目からハンカチが落ちないようにそっと頭の下と膝の下に手を入れて、抱き上げ、ゆっくりと教室を出た。
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