お前には敵わない
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「…覗きなんて悪趣味だよ、宮本くん。」
教室を出たところで、隠れている影に声をかける。
すると、影がピクッと動いた。
「そんなだから、フラられちゃうんだよ。ご愁傷様。」
僕は全力で残念そうな顔を作ったけど、ニヤけて仕方ない。
「…っ、俺を呼んだのはお前だろ!!」
「証拠も無いのに犯人扱いするなんて酷いなぁ。フラれたのに未練がましく健太のことつけてきたんじゃないの?未練がましい男は嫌われるよ。」
僕が親切にも宮本にアドバイスしてあげると、深く納得したのか黙ってしまう。
この程度で言い返せないなんて、つまらない奴。
「じゃあ、健太が僕を待ってるから、僕はすぐ戻らなきゃいけないんだよ。宮本くんも僕と居る時の健太が1番いいんだろ?」
興味をなくした宮本に構ってあげてる暇なんてない。
僕がさっさとトイレに入ると、宮本もついてきて僕を壁に押し付ける。
宮本の目は見開かれ、瞳は炎が燃えるように揺らいでいた。
「そんな奴だとは思わなかった。健太はお前と居させない。居ない方がいい。」
僕を押し付けている手に力が入り、肩に食い込んでくる。
そろそろ我慢できなくなってきた僕は、宮本の腹を膝で蹴る。
すると、うっ。と呻いて手が緩められたので、容赦なくもう一度腹に蹴りを入れた。
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