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お前には敵わない

次の日、気が重くて目が覚めても布団の中でダラダラしていた。

行きたくなかったが、母さんに無理矢理送り出される。

考えなければいけないことが多過ぎて、家から学校までどう来たのか思い出せないがおれは学校に着いていた。

遅刻はしてしまったが。

「おはよ。健太が遅刻なんて珍しいな。」

宮本は今までと変わらずに話しかけてくれる。

「はよ。…ちょっとな。それと宮本、話があるんだけど、昼休みいいか?」

「ああ。」

宮本は真剣な顔になって答えた。



昼休み、話は聞かれない方がいいと思って教室から離れた普段は使われてないような、人けのない教室に行った。

「宮本、ごめん。」

二人の間に沈黙が流れた時、おれは思い切って切り出した。

「はは。そうか。」

宮本は今にも泣き出しそうな顔をして笑う。

「男同士だからか?」

そんな顔で笑わないでくれ。

おれが泣いてしまいそうになるから。

「いや、違うんだ。おれ…、優斗と付き合ってるから、宮本とは付き合えない。」

「そうか、やっぱりな。」

宮本はおれにハッキリと好きだと言ってくれた。

その言葉をおれはずっと求めていたんだ。

でも、宮本じゃない。

おれがそう伝えると宮本はやっぱり泣きそうに、でも優しく笑った。


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