お前には敵わない
6
おれの家まで送ってくれると言う宮本と共に家に着くと、玄関のまえで塀に寄り掛かるように優斗が立っていた。
「じゃあ、明日。」
宮本は優斗に気付かず、にこやかに手を振って帰っていく。
おれは気にしながらも手を振って答えた。
近づくとやっぱり優斗だった。
「あ…あの、どうしたんだ…?」
恐る恐る聞く。
「どうしたじゃないよ。」
塀に押さえ付けられ、背中を打った痛みに顔を歪めた。
目の前には優斗。
「なんであいつと帰ってきてんの?」
「えっと、その…。」
「関わるなって言っただろ。」
「そうだけど…。」
「まさか、告白OKした訳じゃないよな?」
「っ?!なんで…そのこと…。」
「聞いた。見た。」
「…そんな。」
「悪いかよ。健太は僕と付き合ってんじゃないの?」
悪ぶれもせずに言う。
「それはそうだけど、…宮本にも悪いし。」
「我慢してたけどさ、何ですぐ断らないんだよ。」
おれの宮本を庇うような発言に嫌そうにため息をついて言う。
「…優斗にも聞こうと思って。」
優斗が告白のことを知っているなら、あとは聞くしかない。
「もう、いい。宮本と付き合えば。付き合って宮本とキスでもセックスでもすれば。」
そう言い捨てる。
帰っていく優斗の背中にいくら「違う。」と叫んでも振り向いてはくれない。
違う。
好きなのは優斗なのに。
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!