お前には敵わない
4
それから涼と話していた。
涼は幅広い分野のことを知っていて、それだけ交遊関係が広いのだろうなと思った。
おれは狭く深くと言えば聞こえはいいが、単に友達が少ないので涼ような人が羨ましい。
「ところで最近、佐々木と一緒に居ないけど喧嘩でもしたのか?」
涼は一瞬間を開けて、聞いた。
きっと、1番聞きたいのはこのことだろう。
「…喧嘩じゃないけど、みたいな感じ…かな。」
優斗も少し怒っていたし、間違いではない気がするけど、
喧嘩…に見えるんだ。
せっかく恋人になったのに、近づかないで。て言うのは酷かったな。
「そうかぁ。まあ、そんな落ち込むなって。じゃあ、またな。」
自分で選んだことだから、落ち込んでいないはずなのに、宮本にはそう見えたらしく、背中をポンポンと叩かれ、励まされた。
「誰あれ。」
気づくと優斗が前にいた。
おれは久しぶりに優斗に声をかけられたことが嬉しくて、興奮して宮本のことを話した。
でも優斗はおれが言葉を発する度に不機嫌になり、冷たい目でおれを見ていた。
「ふーん。宮本には触らせるんだ。」
久しぶりに聞いた優斗の声は低く冗談っぽさがなく、おれは何も答えることができなかった。
「もう、あいつとは関わるな。」
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