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お前には敵わない

「ちょっと来い。」

おれは、優斗の腕を掴みトイレに引っ張っていった。

優斗も嫌がる様子はなく、ニヤニヤと笑いながらおれについて来る。

「何?我慢できなくなった?」

「何だよ、あれ。何でおれとの約束守ってくれないんだよ。」

「ばれなきゃいいんだろ?あれくらいでばれないよ。」

「違う。あんなことしてたら、ばれる。…優斗、もう学校であんま近寄んな。」

「なんで?今まで一緒にいて、変に思われなかっただろ?」

「そーだけど。…っやっぱり怪しいって。」

「分かったよ。」

優斗はため息をつくと投げやりに答え、一人でトイレを後にした。

次の休み時間から、いつもチャイムが鳴るとすぐにおれのところに来ていた優斗が他の友達のところにいって仲良さそうに話していた。

結局、優斗以外に友達がいないおれは1人。

これでいいんだ。と思いつつも、優斗の方を見ることができなかった。

自分がして欲しいと言って、してもらったことで、おれは自分勝手にも傷ついていたんだ。


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