お前には敵わない
1
朝、玄関を開けると優斗が立っていた。
優斗は爽やかに挨拶し、おれも挨拶を返すと、2人で学校へ向かって歩きだした。
昨日、俺達は恋人になった。
しばらく会話はなかったけれど、優斗だと気まずいとも思わない。
すると突然、左手に温かさを感じる。
「やっ、やめろよ。」
「えー。いいじゃん。」
手を振り払うと優斗が拗ねたように口を尖らせる。
「うちの学校の生徒だっているんだぞ。ばれたら、どーすんだよ。
やっぱり、男同士っていうのはおかしいって思う人もいるし、学校とか外とかでは隠した方がいいと思うんだ。」
「まあ、健太がそーいうなら、そーするけど。」
キスはいい?とか馬鹿なことを言ったりして、優斗は少し不服そうだったが、おれ達は、外ではばれる様な行動はしないっていう約束した。
それなのに…、学校で優斗は休み時間の度に、おれを膝の上に座らせようとしたり、可愛い可愛いと連発したり、頭を撫でたりと約束なんてまるで無視だ。
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