お前には敵わない
3
「で、何か問題ある?」
「…あるよ。ほら、あの…男同士だし。」
自分で言ってその重大さに気づいて悲しくなってきた。
「でも、健太、僕のこと好きだろ?」
「うん。…ってか、もうそれはいいよ。」
優斗もおれのこと好きだって分かったから、もう開き直って答えた。
「ごめん。なんか嬉しくて。」
普段の優しい笑みと違いニヤニヤしていて、締まりが無い。
「照れんなよ。」
優斗は苦笑いしてごまかすと、話を戻す。
「それで、男同士でも付き合えるんだよ。同性同士でも付き合ってる人もいっぱいいるよ。」
「そうなんだ。…ひゃぁっ…何やってんだよ。帰れ。」
素直に驚きの言葉を述べていると、優斗にお腹を触られて、甲高い声と共に体が跳ねてしまった。
それでも、優斗はまださわさわとお腹を触っているので、その手から逃れる様に体をくねらした。
「じゃあ、そういうことで。」
帰れと言ったからか、本当に帰ろうとする優斗。
まだ、付き合うとかいう話もどうなったか分からない。
「そういうことって…んぅ…はぁっ。」
立ち上がった優斗を見上げると、優斗は立ったまま、おれに口づけをした。
それも深いやつ。
絡んでくる優斗の舌から逃げることも、こたえることもできず、されるがままになっていた。
「こういうこと。」
おれが息がきれて意識が混濁してきた頃、そっと優斗の唇が離れた。
そして、部屋のドアを開けるとじゃあね。と言って出ていった。
なんだか強引におれ達はこういうことになってしまったらしい。
記憶捏造
(記憶をすり替えたり、作り替えたりできる)
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