お前には敵わない
2
「ほら、文化祭のとき。」
ああ。って、あれは勝手に優斗が聞いただけで…
思い出さない様にしてたのに…
恥ずかし過ぎる。
「健太は僕のことそんなに好きなんだ。」
え?何で知ってるんだよ。
そうだけど、まだ言う勇気なんてできてるはずがない。
「ち、違うよ。」
また、改めて言おう…言えたらいいなぁって思っていた。
「そんな赤い顔して否定しても、可愛いだけだよ。」
「ちょ、嘘だろ。見んな。」
おれが顔を手で隠していると、優斗が優しい瞳をしてフッと笑った。
「…付き合おっか。」
「へ?…だって、」
マヌケな声が出るほど、頭の中はハテナだらけ。
「健太、僕のこと好きだろ?」
「うん。…っいや、違うけど、優斗は?」
当たり前のように聞かれたから、思わず肯定してしまった。
「僕?僕はいつも健太に言ってるだろ?」
「嘘だ。聞いてない。」
当然のことの様に答えるが1度も聞いたことがない。
「…さっきだって可愛いって。」
優斗はばつが悪そうに俯いて言う。
「可愛いと好きは違うじゃん。」
「でも、そこには愛が含まれてるんだから、一緒だよ。それに気づかない健太が悪い。」
優斗の勝手な解釈で、結局おれが悪いらしい。
「そんなー。」
横暴すぎる優斗発言におれは抗議の言葉を漏らした。
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!