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お前には敵わない

文化祭の後、あのキスの事がふと頭に浮かび、気づくとそのことでいっぱいになっていた。

そのせいでおれは危うく風呂で溺れそうになった。

あいつは危険だ。

そんなあいつを好きになっちゃったおれも十分危険だけど。

そんなことを考えてたら、文化祭で心身共に疲れてるはずなのに、夜寝れなくて眠りにつくのが随分遅くなってしまった。

それで起きたのは、昼。

目覚まし時計を見ると、12時30分過ぎを指している。

そして、何かの音がずっと聞こえている。

ピンポーン!ピンポーン!

家のチャイムが鳴っている。

おれは渋々体を起こすと、テキトーな服に着替えて階段を下りた。

玄関付近に行くと声まで聞こえてくる。

「こーんにーちはー。こーんにー…」

「煩い。」

おれは急に扉を開いた。

「近所迷惑だろ。」

朝から玄関で叫んでたら変な目で見られるぞ。

「大丈夫だよ。健太が階段下りてきてからだから。」

なんで分かるんだ?

昨日の今日なので、少し気まずく思いつつも、おれは優斗を部屋に通した。

「何する?」

平静を装っていつもの様に聞く。

やっぱりゲームかなぁ。

「キスでもする?」

思ってもいなかった答えにすぐに返答できなかった。

「健太からキスを求められるなんて思わなかったなぁ。」

「もっ…いつ求めたんだよ?!」

さっきのは全く考えてなかったし…。


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