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お前には敵わない

「え?」

「やっぱり見てなかったんだ。僕の台詞だよ。」

「それは知ってるけど。」

練習も何度か見たし、台本も優斗に見せてもらった。

優斗の台詞だということは知ってる。

「僕、健太のこと思って言ったのに、舞台裏に戻ったら、健太居ないから、探したよ。」

「え、まさか、途中で…来てないよな?」

「それはないよ。本当は来たかったけど…。クラスに迷惑かけるし、健太も怒るだろ?」

だから終わってすぐに来たんだ。とドレスを広げて見せる。

かつらをとって髪がぐしゃぐしゃなのにメイクとドレスはそのままというジュリエットはあまりにも滑稽だった。

おれも、もうなんだか分からなくって笑いながら答えた。

「当たり前だろ。まあ、みんなに迷惑かけんなって怒るけど、嬉しかったと思う。おれのためだけに来てくれたって…っんぅ?!」


突然おれは優斗にキスされた。

「なっ、何して…」


おれはお前の冗談も冗談として受け取れらないんだよ。

「可愛いかったから。それに、健太が出ていったのって、僕達のラブシーンが見てられなかったからだろ?」

「…ちがうよ。」

なんだ、こいつ。

「ふーん。でも、劇の途中でも抜けてくれば良かったな。その方が健太も喜んでくれたみたいだし。」

「そんなこと言ってないだろ。早く着替えて来い。」


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