キスじゃ死ねません(仮)
4
新学期から3ヶ月程、2回目の席替えからしばらく経つが、俺の隣は空席だった。
席がないわけではなく、空っぽの机と椅子が置かれていた。
俺はあまり気にしていなく、不登校か何かか?程度に思っていた。
しかし、他の奴らの話を聞くと、入学以来ずっと来ていないらしい。
1年の時に同じクラスだった奴も見たことが無いと言い出す始末だ。
進級できているんだから、一度も来てないなんてはずないのに。
「確か…、名前なんだったかな…。」
俺はその名前を聞くまで、なんら興味も無く、勝手に盛り上がり出した奴らの話を適当に聞き流し、数日前にぶつかった男のことを考えていた。
いったいあいつはどこにいるんだ。
「あ。思い出した!伊藤祐利だ。伊藤祐利。女子だったりして。」
突然、耳に入るあいつの名前。
俺は耳を疑った。
「…っ?!…それ本当か?」
「あっ…ああ。どうかした…んですか?」
「……いや。なんでもない。」
あいつがこんな近くにいたなんて。
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