キスじゃ死ねません(仮)
2
「…違うんですか?」
「え?!…あ。そうだ。俺だ。」
気づくと祐利は多分困った顔をして首を傾げていた。
可愛いぃぃー可愛い過ぎる。
ギュッと抱きしめてやりてー。
俺は深く息を吐き、気を落ち着かせようとしたが、ずっと見つめてきているであろう祐利に鼓動は早まるばかりだ。
「お…俺は、お前が…お前のことが、
……好きだ。付き合え。」
練習した言葉なんて頭からすっ飛んで1番短い言葉が口をついて出てくる。
自分でも笑えるほど声が震えていて酷く情けない。
「…すいま」「あぁ?付き合えって言ってんのが聞こえねーのか。」
「ごめんなさい。付き合えません。」
祐利は俺の睨みなんて効いていない様子で淡々と伝える。
俺の告白に対する断りの意を。
誰だよ。俺みたいな奴は相手を脅せば簡単に付き合えるとか言った馬鹿は。
全然、違ぇじゃねーか。
全然、思い通りになんて…ならないじゃねーか。
「…は?なんでだよ?」
少し折れた心で聞く。
だから、声はだんだん尻すぼみになる。
「俺にだって選ぶ権利はあります。」
祐利は先程と変わらぬ整然とした口調で答える。
「…お前は俺と付き合えばいいんだよ。」
俺は俯いてほとんど呟くように言った。
丁重にお断りします
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